失業者数、400万人の大台を再び突破

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年5月

連邦雇用庁が2002年2月6日に発表した統計によると、1月のドイツ全土の失業者数は心理的な数字と言われる400万人の大台を再び突破し、予想されてはいたが、厳しい労働市場状況を裏付ける数字になった。

統計では、全ドイツの失業者数は429万人で、前月比で32万6000人増加、前年同月比で19万7000人増加だった。失業率は10.4%で、前年同月比で0.4ポイント上昇だった。

これを地域別で見ると、西独地域では、失業者数は279万1000人で、前月比で20万7000人増加、前年同月比で16万9000人増加、失業率は8.3%で、前年同月比で0.3ポイント上昇だった。東独地域では、失業者数は149万9000人で、前月比で11万9000人増加、前年同月比で2万8000人増加、失業率は19.1%で、前年同月比で0.4ポイント上昇だった。

労働市場の悪化の原因としては、継続する景気の低迷による新規求人数の減少とリストラによる人員削減、悪天候、年末に通常多く行われる解雇(雇用期間終了)等が挙げられている。特に悪天候と年末解雇はこの季節の特徴で、例年の統計でも1月の失業は年間を通じて最も増加し、ヤゴダ連邦雇用庁長官も、この1月の失業の増大も90%は季節的要因に起因していると述べている。

ただ、この1月の統計の特徴として挙げられるのは、12月から1月にかけての失業者数の増加が、例年をかなり上回っていることである。上述の統計に示されているように、12月から1月にかけて失業者数は32万6400人増加しているが、これは過去3年のこの時期の増加と比べて、4万から8万人多い数字となっており、この1月より増加が多かった年としては、1997年にさかのぼらねばならない。その理由としては、例年にも増して厳しい冬の到来があり、戸外の仕事の求人数が大幅に減少したことが挙げられ、同時に西独地域の経済状況の低迷が響いていることがある。

この統計発表を受けて、リースター労相は、待たれる米国の景気回復の影響で統計が好転する期待を表明したが、同時に、現時点で政府の労働市場政策が、統計上の悪化を食い止めるのに十分でないことも認めている。これに対して、野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)、自由民主党(FDP)は、連邦政府の政策が労働市場の硬直化をさらに促進したと批判し、それゆえ徹底した労働市場の規制緩和と弾力化、ならびにより弾力的な企業レベルの賃金決定等を要求している。

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