欧州委員会、労働市場への参加を促進するための報告書と提案を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年5月

欧州委員会は、2002年1月に労働市場への参加を促進するための報告書とそれを具体化する提案を公表した。

報告書は、リスボン・ストックホルム両サミットで合意された雇用目標を達成するためには2000万人分の雇用を創出する必要があるとし、この目標達成のための具体策を示している。この雇用目標とは全体の雇用率を70%(女性は60%、高齢者は50%)にまで引き上げるというものである。

提案の内容

欧州委員会は、報告書の中で労働市場への参加と「アクティブ・エイジング」を促進するための提案を行っている。特に女性と高齢者の参加を促すことが重視されているが、障害を持つ人々やEU域外からの移民労働者に対する支援も視野に入れている。

重点事項としてあげられているのは、労働者の就労期間を延ばすために政府とソーシャルパートナーが協力すること(具体的には職業訓練や労働条件の改善等)、税制や社会保障手当の改革(早期退職を促すのではなく、経験ある労働者に技能向上の機会を与えるなどしてより長い就労を促進するように改革する)、賃金と労働市場へのアクセスにおける男女間格差を解消するための包括的な取り組み、育児や介護の責任を担う労働者への支援強化、中途退学者削減のための政策の見直しなどである。

報告書では、これ以外に労働市場への参加を左右する要因等も分析されている。同報告書はストックホルム欧州理事会により要請され、2002年3月に開催されるバルセロナ・サミットに提出されることになっている。

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