男女間賃金格差、わずかに縮小

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年5月

国家統計局が2月に公表した統計によれば、男女間の賃金格差が昨年わずかながら縮小していた。それでも機会均等推進者らは、まだまだスピードが遅いと不満の声をあげている。

統計によれば、2001年4月時点で女性の1時間当たり賃金は男性の81.6%で、前年の81.1%からわずかに改善した。10年前は同78%であった。最近の政府の調査によれば、女性の生涯収入は、男性よりも平均で24万1000ポンド少なく、子供のいる場合にはさらに14万ポンド、併せて38万1000ポンド少ない。

30年前の女性の賃金が男性の63.5%であったことを考えると、較差は着実に縮小してきたといえる。背景には、女性の職場進出が増えたことや、女性の学業成績が向上してきたことがある。

もっとも機会均等委員会(EOC)は、賃金格差の縮小速度は十分に早いとは言えないと主張している。これは特に管理職について顕著である。管理職に占める女性の割合は30%だが、収入は男性管理職より24%も少ない。ジュリ・メロー同委員長は、全部門、全レベルでの労働慣行の根本的な変化がないかぎり、女性の地位は現在のままであると警告したうえで、その変化をもたらす有効な方策として、給与体系が女性に不利に働かないよう保障する恒常的な賃金審査の実施を提唱している。

しかしEOCによれば、問題は、ほとんどの使用者が女性を差別していると気づいていないことだ。たとえばEOCの調査では、93%の使用者が自社の給与体系は公正だと思っている。ところが専門家によれば、男女差別に最も理解のある使用者の場合でさえ、社内の諸制度に差別的要素が含まれている。

たとえば業績管理制度は、女性によるチーム志向型の仕事よりも、短期で成果が現れる、男性によるプロジェクト立脚型の仕事の方に有利に働き、さらに賃金交渉では、女性は男性よりも控えめになる傾向があるとの調査結果も出ている。

政府はすでに、女性の雇用条件に関する情報の開示を使用者に促す措置を発表しているものの、EOCはもっと抜本的な改革を断行するよう求めている。

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