OPD施行4年、今でも少ない障害者の雇用機会

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

4年前に施行された障害者に関する命令(OPD)は、全ての事業体において従業員の2?3%は障害者を雇用しなければならないとしているが、国有企業の多くがこの基準を満たしていない。国有企業で仕事に就くことができる障害者は、社会から尊敬されているベトナム戦争戦傷者や非常に高い技能を持つ人々に限られている。労働・傷病兵・社会問題省(MoLISA)によると、多くの国有企業では、障害者の雇用拡大努力が不十分である。

その一方で、66人の障害者を雇用し、さらに採用を拡大しようとしている全額韓国資本の履物製造企業や、フルタイムで雇われた4人の障害者が他の障害者に対するカウンセリングを行っている会社もある。また、障害者の中には起業家精神を発揮して、手工芸品の製造を行う企業やIT訓練を行う企業を設立し障害者を雇用しているレ・グエン・ビン氏のような例もある。MoLISAの調査では、障害者の約58%が何らかの仕事を持っているが、30%は失業中か安定した仕事を探している。ホーチミン市青年障害者協会の380名のメンバーのうち約90%は自営である。

MoLISAによれば、国内に約500万人の障害者がおり、そのうち300万人が戦争による傷病によるものである。その38%以上は、政府から補助を受けている。6千人以上の障害を持つ子供が特殊学校に通学しており、5万人の障害児は普通学校に通学している。これらの若い障害者が自ら教育や技能を身につけるよう努力することはもちろん重要だが、障害者が生活しやすい環境を整え、周囲の人が障害者への理解を深めることも最終的には障害者の雇用機会や活躍の場を広げることになる。障害者は、しばしば社会から見下されているように感じ、教育を受けても仕方がないという無力感を持つことがある。障害者向けの施設やインフラが不足していることも障害者の社会参加への妨げとなっている。MoLISAは、障害者が直面している問題について、一般の人々により良く知ってもらうための数種類のキャンペーンを準備している。

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