ホーチミン市労働裁判所利用件数増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

ホーチミン市労働裁判所は2001年に202件(新案件180件、上訴22件)の労使紛争を扱った。2000年に比べると53%も件数が増加し、労働者が以前よりもより積極的に労働裁判所のシステムを利用している。202件のうちの大部分は、使用者に対し不満を持つ労働者によって労働裁判所に持ち込まれたもので、代表的な問題は、労働契約の中断、報酬や賃金、社会保障、手当、失業手当などとなっている。

労働問題専門家によると、これまでよりも多くの人々が労働裁判所を労使紛争解決の唯一の手段と考えるようになっている。司法による解決の有効性は、労働裁判所が労働者を救済した幾つかの判決からも伺える。使用者が出産休暇中の手当を支払わなかったとして提訴し勝訴した女性従業員は、多くの人々に使用者を提訴しないように忠告され、自分でも勝てる見込みがないと思っていたと語っている。また別の件で、労働裁判所は台湾国籍のコン・チュヤン社に対し、解雇された3人の労働者に870万ドンの補償を命じた。同社元従業員20人は、この逆転勝訴に刺激を受けて同社を提訴している。

2001年にホーチミン市労働裁判所は179件を和解させ、23件を裁判にかけた。同労働裁判所の判事によると、労使紛争解決のために最も重要な原則は、調停プロセスの中で当事者間の円満な解決への手助けをすることにある。また、両当事者が調停を通して労働法への理解を深め、過去の過ちを正すことも期待できる。労働問題の専門家によれば、調停には労使紛争で生じた感情的対立を和らげる効果もある。

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