農民の債務繰り延べに関するデモ

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

タイの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年4月

タクシン首相の首相就任から1年以上が経過したが、選挙公約であった「農民の債務繰り延べ問題」はまだ解決に至っていない。債務返済を3月末日に控えた農民の、政府に対する不満が爆発した。

150億バーツの資金投入を要求

2002年1月22日、多数の農民代表者、特に東北部出身の農民たちが政府官邸前に集まり、「農民回復開発基金(The Farmers Rehabilitation and Development Fund:FRDF)」へ15億バーツの資金を投入するように求めた。

FRDFのメンバーは51県から約200人が集まり、上記の資金投入と、要求事項を政府につきつけた。要求事項とは、農民の債務に関する事務手続きを行う「FRDFセンター」の設置と、FRDFのサマーン事務局長の辞任、FRDFに政府が政治的介入を行わないことなどで、これらを書面にしたものを代表がバチラ公共サービスセンター局長に手渡した。

彼らは、要求が通らなかった場合、タイ愛国党(現在の与党、タクシン首相が党首)の支持を取り消すと脅しをかけている。

北部のチェンマイ出身のタクシン首相と首相率いるタイ愛国党は、2001年2月の総選挙の際、人口の8割が居住する農村部の農民票を獲得するのに成功し、大勝利を収めた。その支持と引き換えに、多くの農民が苦しんでいる債務を繰り延べるという公約がなされた。しかし、債務返済を3年後に延期することができたのは、債務が10万バーツ以上で、農業共同銀行(BAAC)から借り入れている者に限定されていた。

1月31日には、サマーン事務局長の解任はありえないと政府からの回答があり、1500人の小規模農民協会のメンバーらがロイヤルプラザでデモを行った。アソーク代表とナコン代表は首相のアドバイザーであるチェタ大将、内務省のプンタム事務次官と2時間話し合った。

そこで同協会は、FRDFに政府資金18億バーツの投入を2月15日までに行うことを要求。プンタム次官は、「首相と相談の上決めることだが、彼らの債務支払期限である3月31日までに回答できるかどうかは不明」と答えた。ソムキッド財務相も、この問題に関する会議を開いて、30日以内に解決できるようにしたいと述べている。

2002年4月 タイの記事一覧

関連情報