公共・民間部門のサービス産業4労組の合併ならず

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

職員労働組合連合(TCO)傘下の三つの公共および民間サービス産業ホワイトカラー労働組合である政府労働者労働組合(ST)、地方自治体労働者労働組合(SKTF)、商業俸給労働者組合(HTF)、そしてスウェーデン労働組合総同盟(LO)傘下の公的保険機関労働者の労組であるFFは、ほぼ3年間、合併への準備を進めていた。この4労組の合併は2003年1月1日に実施予定だったが、HTFの総評議会は、2001年12月8日の会議で予想に反して反対を決議した。組合の解散および他組合との合併の決定には、総評議会において三分の二の賛成票を要するが、賛成票59、反対票33で、有効多数には3票不足した。

 すでに2年以上前に、TCO傘下の三組合、政府職員の組合ST、地方自治体ホワイトカラーの組合SKTFと民間サービス部門ホワイトカラーの組合HTFは、執行委員会レベルで、中央政府および地方自治体のサービス部門の急速な民営化を考えると、これら組合を合併することは組合員の利益になると合意していた。ドイツの統一サービス産業労働組合(Verdi)をモデルとした併合組合が実現すれば、地方自治体公務員または国家公務員は、その職務が民間企業に委託されても組合を変える必要はなく、同一の労働協約の下で働き続けることができる。すなわち、新しい使用者の下でも、公共部門雇用においてしばしばみられる優遇的な労働条件を保証されることになっていた。

 合併後の新しい組合は40万人を超す組合員を擁し、民間および公共サービス部門の問題に関して非常に強力な圧力団体になるはずであった。組合間の境界および組合員の勧誘に関する複雑な問題は一夜にして消滅したであろう。

 しかし、民間サービス部門を組織する最大組合であるHTFの組合員たちは、かなり遅い時期になって意見を求められると、異なった見解を示した。つまり、合併によって柔軟性が増し、運営がより少数にまかされれば、組合の官僚主義化が進み、組合員と選出された全国的な組合指導層との距離がさらに広がるとみたのである。

 HTFの合併否決により、TCOの三組合は、将来の合併に関するすべての計画を棚上げした。一方、LO傘下の組合である公的保険機関労働者労組FFは合併協議への参加が遅く、合併の不成立による影響はあまり受けなかった。これまでブルーカラー労組として活動していたFFは2002年1月1日にホワイトカラー労組連合であるTCOに加盟し、2003年1月1日にTCOの政府職員組合であるSTと合併し、公的医療保険基金連合(Forsakringsskaseforbundet)と独立した協約を結ぶ、全国規模の新しい組合を形成する予定である。

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