社会・厚生省、穏健な労働災害保険改革を提案

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年4月

労働組合による長年の強い圧力で、社会保険担当の第2社会・厚生大臣はついに労働災害保険改革法案を2001年12月4日国会に提出した。新規定は2002年7月1日に施行される予定で、終身年金のコストは2010年までに20億クローネにまで増加し、さらに5年後には2倍になると見込まれる。何が労働に関係した傷病かを決定する旧規定は2002年7月まで継続して適用され、それ以降も古い傷病に関する判断の根拠であり続けるので、経費の増加は急ではないだろう。システムは非常に慎重に変更されるので、2002年に5億クローネ、2003年に10億クローネとされた予算が使い切られるかどうかは疑問である。

2001年には、約1万1000件の傷害および疾病が労働環境が原因で起きたと認められ、年金で補償されると見込まれている。この数字は1989年に傷病と認知された7万8000件と比較する必要がある。当時の医療保険受給に関する寛大な規定は1993年に変更され現在の状況に至ったが、それは特に女性にとって不公平なものであると考えられている。また、労働者自身あるいは所属する組合が、その病気または傷害の原因は労働状況にあると証明する責を負う。

現在は、その傷病が労働環境に関係している「高い可能性」がなければならない。新しい法案は、その傷病が労働環境によると予期することが「最も合理的」でなければならないとする。その際に以下の4要因を考慮しなければならない。

  • 傷病を得た労働者がこの要因にさらされていた期間と程度はどうか。
  • 傷病を得た労働者の健康状態が悪かったために、その要因に敏感な反応をしたのか。
  • 傷病を得た労働者は仕事以外で、傷病を起こしうる危険な要因にさらされなかったか。

腰痛があったり繰り返し作業による関節痛がある何千人もの女性達が、労働能力の減少を根拠とした年金の受給資格を満たせない理由は旧規定の表現にある。医療保険管理者の医療専門家が、ありふれた女性の傷病に下す最も一般的な決定は、「通常の加齢による」である。第2社会・厚生相は法案趣旨説明の際に、新規定は特に女性に便益を与えるように工夫されていると述べている。

諸労組は、提案された変更には全く満足していない。特に、個々のケースの審査期間中に対する100%の補償の再導入が含まれていないことに不満である。現在、傷病を得た労働者は80%の補償を得ているだけであり、また補償のない待機日が1日ある。さらに補償については、月2万3000クローネの上限があるため、それ以上の所得がある場合には、月2万3000クローネの80%しか支給されていない。組合は、ある傷病ケースが調査されなければならない場合、その調査期限に定めがないという点も批判している。

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