職業特別対策委員会が設置される
―雇用情勢の悪化に備えて

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年3月

2002年に入って雇用情勢がさらに悪化する恐れがあることから、政府は1月7日、雇用・訓練分野の諸施策を効果的に実施するために、昨年秋に設置した雇用特別対策委員会(ETF)を格上げして、新たに職業特別対策委員会(JTF)を設置した。委員長にはンー・エンヘン国務相(教育・人材担当)が就任する。

2001年の雇用情勢を振り返ると、第1~第3四半期に解雇された労働者は1万7200人、失業率は9月時点で3.8%に達した。2001年通年では、解雇者は2万5000人を超え、失業率は4.5%にまで達する可能性があると労働力省は見ている。

また2002年の雇用見通しについて政府は、引き続き不透明であるとの見方を示している。米国経済が今年後半に回復したとしても、プラスの影響がすぐにシンガポールの労働市場に現れるとは限らないためだ。

そこで政府は、雇用問題を2002年の最優先事項に掲げ、その手始めとしてETF委員長を大臣級に格上げしてJTFを設置した。委員長にはンー国務相(教育・人材担当)が、副委員長には旧ETFの委員長を務めていたヘン・チーハウ全国労働組合会議(NTUC)副書記長が、それぞれ就任するほか、政労使のハイレベルの代表が委員として参加する。

具体的な役割としては、既存の雇用・労働施策の実施を監視・促進するとともに、とくに(1)既存の雇用を維持し、新たな雇用機会を発掘する、(2)求職支援サービスを充実させる、(3)職業訓練の受講を促進する、(4)職業、訓練、支援スキームについての情報提供方法を改善する、の4分野について適切な施策を政府に勧告することとされている。

これらの4分野については、それぞれ専門の部会を設置して、特定施策の詳細を検討する。

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