タクシン首相訪日、自由貿易協定の開始を提案

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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タクシン・チナワット首相は2001年11月19~21日の3日間、日本を訪問し小泉首相と自由貿易協定(FTA)について会談。全面的な貿易自由化ではなく、分野ごとに段階的な自由化を進めていくという現実的な案を話し合った。また、大分県の一村一品運動を視察し、自国の一村一品運動の参考としたようだ。

FTA締結、農産物などは先送り、まずは早期締結

小泉首相と19日に会談を行ったタクシン首相は、両国間のFTAについて、ワーキンググループを設立し、共同研究を行っていくことを明らかにした。そして、全分野の全産品を一気に自由化するのではなく、貿易品目を自由化のしやすさによって3つのグループに分け、まずはもっとも自由化障壁の低いものから段階的に関税を引き下げていき、できればそれを1年以内に行っていきたい、との方針を語った。また、日本にとって自由化がもっとも難しいとされる農産物に関しては、早急な自由化案は現実的ではなく、可能な分野から着手すべきである考えを明らかにした。

一方、小泉首相はタクシン首相の提案したアジアでの協力体制とタイとミャンマーの問題に対して、支援を行っていくと述べている。

また、タイのスラキアット外相と日本の田中外相も対談し、2002年から5年間の経済協力に関する経済的相互支援の枠組みに調印した。

東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国はすでにFTA締結を基本的に同意しており、今後ますます自由化の波が強くなってくると予想される。

日本の企業経営者との対談

また同首相は、タイへの投資を行っている日本の各界の経営者と懇談し、「外国資本を歓迎する姿勢に変りはないが、生産技術の向上や開発プロジェクトを草の根レベルで実施することによって自国経済を強化する努力も行っている」と、1997年の経済危機で指摘されたマクロ経済の脆弱さを克服するよう努力していることをアピールした。

そして、外国資本に大きく門戸を開いているとはいえ、基本的には地方での経済刺激対策を通じて、地方活性化を主眼においていることを協調した。

タイにとって日本は、この10年間で投資額及びプロジェクト数ともに最大の相手国であるが、2001年9月11日のアメリカの同時多発テロ及びアフガン情勢、そして日本の経済不況によって、日本からの投資が減少することを懸念しているという。

しかし、日本の企業にとってタイを生産拠点として東南アジアとメコンデルタ地帯への輸出を促進させることができるという「地の利」を生かして欲しいと述べた。

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