製造業の失業者がサービス業と農業に流入
不況の中、製造業の熟練労働者や技術労働者が、サービス業や農業の労働力として流出している。
雇用環境
閉鎖または人員削減を実施した企業は、第3四半期までに2052社になり、これは2000年の1766社から16.2%増加した。特に、エレクトロニクス産業を中心とした製造業の人員削減が、4万3000人にのぼった。この原因は、ペソ安による輸入部品のコスト上昇と国外のIT不況による半導体需要の低下である。また、同時多発テロにより観光業が70%ほど落ち込んでいる。
現状では、サービス産業と農業が製造業で解雇された労働者の受け皿になっている。この結果、失業率は、年初の13%から年末には10.8%に低下する見通しである。労働者は、生活を維持しているが、転職先では、それまで製造業で習得した技術を生かす場所がない。
政府は、製造業に対し、海外の二大市場、米国と日本の不況による影響を軽減するため、国内市場を開拓するよう指導している。
Ecop会長の見通し
ドナルド・ディEcop(フィリピン使用者連盟)会長は、年初の失業率が低下する見通しであることについては歓迎しながらも、製造業の熟練労働者や技術労働者が付加価値の低い労働に転職し、それが、全体的な労働者の質の低下、さらに経済力の低下をまねくことを危惧している。また、製造業では、景気の悪化により、解雇されていない労働者の賃上げが遅れており、経営が悪化している企業では未払い賃金が生じ労働者の勤労意欲にも影響がでていると語った。
Ecopは、製造業の不況は、中国等の近隣諸国との競争が激しくなっていることと密接に関係しており、製造業で働く労働者は、近年減少しつづけ、労働者全体の約3分の1にまで落ち込むと見ている。その結果、将来景気が回復した時に、製造業の熟練労働者や技術労働者の人材不足が生じるのではないかと憂慮している。
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