商工会議所と労相、パートタイム法をめぐり批判の応酬

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

ドイツの記事一覧

  • 国別労働トピック:2002年2月

先に成立したパートタイム雇用と期限付き雇用に関する法律の改正(本誌2000年12月号II参照)につき、それを批判する経済界とリースター労相との間で厳しい批判の応酬が展開されている。

商工会議所(DIHK)は、ドイツ企業2000社の調査結果にもとづき、パートタイム雇用と期限付き雇用に関する法律の改正(2001年1月1日施行)により、25万人の雇用が妨げられたと批判している。DIHKの調査結果によると、調査対象企業の12%が、後に正規雇用職員によってパートタイム雇用に対する請求権が行使されることを恐れて、採用を差し控えた。また、この理由で採用されなかったのは、女性が圧倒的多数であり、これによって女性の労働市場での雇用機会が悪化したという。さらに、調査対象となった企業の13%では、期限付き雇用の改正を理由に採用が差し控えられた。

パートタイム雇用の改正について、マルティン・ヴァンスレーベンDIHK代表業務執行理事は、調査結果から明らかなように、正規雇用職員のパートタイム雇用に対する請求権が新たに認められたことによって、企業は不安感を抱いて雇用を差し控えたのだから、改正パートタイム法は即座に廃止すべきであると述べている。また同理事は、改正された期限付き雇用についても、2年の範囲内で正当事由のない期限付き雇用を締結できる場合を新規採用時に限定し、期限付き雇用を使用者側に厳しく制限したことが、やはり雇用の妨げになっているので、この要件も緩和されるべきだとした。同理事は、これによって連邦政府は、予算に追加的な負担を負うことなしに、景気に対しても積極的なシグナルを送ることができると述べている。

これに対してリースター労相は、DIHKの調査した企業のみによってドイツの全企業について推計を及ぼすのはばかげていると厳しく反論し、また、雇用が妨げられたことに対しては、パートタイム雇用がこの数年来増加していることを指摘して反論している。

2002年2月 ドイツの記事一覧

関連情報