2001年の外国人労働者登録完了
 ―全国で54万人

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

2001年の外国人労働者登録が10月25日に終了した。今年の登録者は全国で54万人。政府は70万人程度の登録者を予想していたが、今回の登録から諸手数料が大幅に値上げされたためか、予想を下回る数字となった。

1990年以降、いわゆる3K労働(農業、建設・土木業など)にはタイ人が就業したがらない傾向があり、これらの部門の経営者たちは労働者不足に悩まされてきた。そのため、ミャンマー人を中心にラオス人やカンボジア人といった労賃の安い労働者を雇ってその不足を補ってきた。

しかし、1997年に始まる経済危機以後、タイ人の失業問題が深刻化し、政府は外国人労働者の排除によってその問題を解決しようと試み、2001年の外国人労働者登録についても、前年に引き続き、国内の深刻な雇用情勢を反映して、外国人労働者が就労できる産業を10種に限定し、出来るだけ多くの雇用がタイ人優先に提供されるようにとの考慮がなされた。しかし現実の問題はそれほど単純なものではなく、毎年同様な問題が持ち上がり、根本的な解決策を見出せない政府は、1年ごとの就労期間延期の手続きを毎年8月に行ってきたに過ぎない。

そのため、今回、雇用申請手続きに関する手数料を大幅に引き上げたことが、外国人労働者問題の解決にどのように結びついているのか疑問視する声も多い。

労働者1人当たり4450バーツ(1年間の就労の場合、6カ月では3250バーツ)の登録料は、今回170億バーツの収入を政府にもたらした。これを政府は、外国人労働問題の対処のために透明性のある使い方をしなくてはならないだろう。

雇用問題だけではない。ターク県では、不法就労者が多数存在するために地域の安全性が脅かされるとの危機感から、地域住民や経営者らが警察に外国人の取り締まり強化を要請している。そのため、雇用登録が終了した10月下旬からは、警察側が不法就労者の捜査、逮捕、本国送還に本格的に乗り出している。ちなみに、2001年の前期だけでも、タイから本国に強制送還させられた外国人労働者は12万人にも上っている。

経営者にも厳しい罰則が加えられる。外国人労働者雇用法に従って、未登録の外国人労働者を雇用した使用者は、最長3年の禁固刑、または(もしくは加えて)6万バーツの罰金を支払わなくてはならない。不法就労者も、3カ月の禁固刑、5000バーツの罰金となる。

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