テキスタイル産業で雇用大幅削減

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2002年1月

インドネシアにおける非石油部門での最大産業であるテキスタイル産業が、世界的な同時不況による需要の減少で、輸出額を減退させている。膨大な労働人口を抱えるインドネシアにとって、労働集約的な同産業の雇用に対する重要性は非常に大きい。

インドネシアテキスタイル協会(API)の発表によると、2001年のテキスタイル部門での対米輸出はアメリカの景気後退により前年比25%減少した。インドネシアの繊維製品の26.3%がアメリカ向け、これにヨーロッパ、日本向けの製品を合わせると45%となり、アメリカやEU、日本の景気動向が大きくテキスタイル産業に影響する。例えば、2000年の同産業の対米輸出額は210万米ドルで、原油・石油産業に続く一大産業に成長しており、この部門に従事する人の数は非常に大きい。

APIのベニー会長は10月22日、世界的な同時不況のためテキスタイル製品に対する海外からの需要が減少してきているために、1万2000人前後の解雇者がでるのではないかと発表した。

バンドンやマジャラヤ、西ジャワなどのテキスタイル工場では、10月に入ってから就労時間を短くし、アメリカやヨーロッパ向け製品の製造を減少させている。工場によっては、週6日の勤務を5日に減らしたり、勤務ローテーションを2シフト制から1シフト制に移行したりするなどで調整を行っている。

マジャラヤにある染色・印刷業のPTウィスレック社では、34の中小企業を抱えているが、従来ひと月60万メートルの布を染色していたところを50万メートルに減少させ、企業全体では、10~15%減の生産量調整しているという。

一方、西ジャワテキスタイル協会のアディ会長によると、西ジャワのテキスタイル産業は、対米以外の台湾、香港、シンガポールといった取引先との関係が今のところ安定しているため問題はないが、今後の影響が懸念されるとコメントしている。

労働集約型のテキスタイル産業は、近年中国などから安い製品が大量に流入してきており、インドネシアの関係者は経済不況による輸出減少と同時に、競争相手国としての中国にどう対処するかを迫られている。

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