Socso、公務員にも適用

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

政府は、民間の従業員に限られていた社会保障機構(Socso)による労災補償を公務員にも適用する決定を下した。88万人の公務員のほかに、公共部門の一時雇用者3万人も適用対象となる。掛金は、民間従業員の場合と異なり、公務員は拠出する義務はないが、補償額は民間よりも20%少なくなる。同措置は2001年1月1日にさかのぼって適用される。

Socsoとは

社会保障機構(Socso)は「従業員社会保障法」の運営機関。同法が用意している保障制度には、業務上災害による傷害・疾病・死亡に対して補償する「業務上災害補償保険制度」と、傷病の結果、廃疾(就労不能)になった者に対して年金を補償する「廃疾年金制度」の二つがある。

財源は、前者については使用者が拠出する掛金によって、後者については使用者と従業員が折半して拠出する掛金によって、それぞれ賄われる。掛金率は前者が各従業員の月収の1.25%、後者が同1.00%で、両者の合計2.25%のうち使用者が1.75%、従業員が0.50%を負担することになる。

適用対象は、これまでは月収2000リンギ未満の民間の従業員に限られていた。

Socso拡大の背景

同制度を公務員にも適用するに至った背景には、公務員の労災を補償していた見舞金制度(1994年導入)では、補償額がSocsoに比べ大幅に小さかったことがある。

例えば、既存の見舞金制度では、公務員が業務上災害で死亡した場合、基本給(もしくは最低1万リンギ)の最大36倍が、また廃疾(就労不能)になった場合、基本給(もしくは最低2万リンギ)の最大72倍が、補償されるにとどまる。Socsoでは、傷害のタイプや雇用期間などに応じて補償額は異なり、総じて公務員向けの見舞金制度より高い。

このため官公労連Cuepacsは、労災補償制度の改善をかねてから求めていたが、これを受け大蔵省は、2001年度予算案を上程する際に、改善を約束していた。

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