金属連盟とIGメタル、企業年金の協約規制で合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年12月

2001年5月の新たな年金改革法の成立を受けて(本誌2000年12月号、2001年4月号、8月号参照)、金属連盟とIGメタルは7月以来、企業(事業所)年金の労働協約レベルでの規制について、基本的枠組の一致を前提に交渉していたが、9月4日にマルティン・カネギーサー同連盟会長とクラウス・ツビッケル同労組委員長との間に合意が成立し、交渉が妥結した。

新年金改革法では、雇用者は使用者に対して、公的年金を補充する企業(事業所)年金のために賃金の4%までを保険料として積み立てる請求権が認められているが、初めの予定では、この問題の規制についての交渉は、バーデン・ビュルテンベルグの交渉地区での別個の協約交渉に委ねられ、今回のトップ会談では、各企業が企業年金をもたない時の規制と企業年金として拠出された年金保険料の運用機関(形態)についての合意が主要な交渉点だった。しかし、結局雇用者による賃金からの積み立て請求を含めて、トップ会談で2つの合意に達し、360万人の金属電機産業の雇用者のための協約レベルでの企業年金の枠組が成立した。

賃金積み立ての請求と運用機関(形態)についての合意内容は以下のとおりである。

  1. 使用者は雇用者に対して、新年金改革法の条件を満たす企業年金を提供することを義務づけられる。この場合、改革法では賃金の4%までの保険料の積み立てについて、非課税措置等の国家による助成を伴うが(本誌2000年12月号参照)、この条件を満たすものでなければならない。
  2. 企業が企業年金を設けていない場合は、上述の条件を満たす企業年金の提供義務を負うと共に、拠出された保険料の運用機関としては、年金金庫、年金基金、直接保険(注1)のいずれかの形態によるものとする(新年金改革法もこのいずれかの運用形態によることを原則とする)。
  3. 企業が企業年金を既に設け、それが使用者(企業)と雇用者の直接給付契約(注2)の形態で運用されている場合は、この形態を改革法の条件を満たすものにするか、雇用者に対して、年金金庫、年金基金、直接保険の運用形態への移行を促すことができる。
  4. 企業側の保険料支払いについては、IGメタルの主張と異なり、金属連盟の主張が通って、企業は支払い義務を負わないことになったが、この分は運用機関の年金運営のコストに当てられる。

ツビッケル委員長は、この合意の成立によって、将来に影響力が及ぶ新たな一歩が踏み出され、金属電機業界の雇用者には、市場で銀行や保険会社によって提供される商品よりも魅力的なものが提供されることになると述べ、カネギーサー会長も、この合意は賃金協約政策の将来の方向性を示すものだとしている。

ちなみに、金属電気業界では、将来的にはこの協約レベルの企業年金を200万人の雇用者が利用し、投資総額は80億ないし100億マルクに達すると見積もっている。

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