失業率の増加、経済の停滞とIT含む輸出減が要因

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

国家統計局によると、2001年の第1四半期の失業率は4.8%と、前年前期比より0.5ポイント上昇し、経済危機以降2年ぶりの高い水準となった。失業者も158万人と1999年の第2四半期以来の状況となっている。第2四半期では、失業率は3.5%と低下しているが、これは農繁期の数字であるため単純に比較・検討するには注意を要する。

タイの国内総生産(GDP)成長率は、タイ国経済社会開発委員会(NESDB)のデータによると、2000年第1四半期は5.2%、第2四半期が6.2%、第3四半期に2.8%、第4四半期に3.1%と減速傾向で、2001年の第1四半期には1.8%となり、経済が停滞し始めたことを裏付ける数字となった。

IT需要の減少

経済の停滞の一要因として、多くの国でアメリカの景気後退が挙げられているが、タイも例外ではない。世界的に情報技術(IT)関連部門の需要が減退するなか、アジアの主要国全体で200万人の雇用が失われるとの予測もある。

2001年の1~7月の対米輸出額は前年同期比6%減、全体の輸出額も2.3%のマイナスとなっている。また、アジア域内の輸出、例えば中国、韓国、台湾、マレーシアなどへの輸出が大きく減少している。製造業、特に家電・電子部門の輸出の落ち込みが激しく、民間投資も減少している。

製造業の生産指数(MPI)の前年比伸び率は1.9%となり、2000年前期の10%台の伸びから比べると、停滞傾向は明らかだ。

2001年後半の労働市場

今後も輸出不振は続くと見られ、2001年後半の失業率も悪化するとの見方が強い。2001年2月にタクシン政権が誕生し、経済回復が期待され、その結果雇用情勢も好転するのではと予想された。しかし、現実には世界的な経済不振、さらに、9月のアメリカ貿易センタービルへのテロ攻撃とその余波で、経済的にも政治的にも不安定な状況が続き、輸出減少に追い討ちをかけるのではないかと予想されている。

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