メガワティ新内閣の雇用創出政策

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

2001年s月にメガワティ新内閣が発足し、労働・移住大臣に全インドネシア労働者連盟(FSPSI)のヤコブ議長が就任した(本誌2001年10月号を参照)。新内閣が取り組むべき課題は多いが、中でもインドネシアの高い失業率を踏まえての「雇用創出」がキーワードとなるようだ。

インドネシアの2000年の労働人口は9570万人、そのうち580万人が失業者であると推定され、失業率は約6%前後を推移している。

ヤコブ議長は就任後、早くも雇用情勢立て直しへの意気込みを見せている。具体的には、最低賃金の改定や、労働者保護法、産業紛争解決法、出稼ぎ労働者法の早期成立、懸案となっている解雇に関する労働大臣令に関しての三者協議の開催などであり、諸課題に意欲的に取り組む構えだ。

一方、リニ工業・貿易大臣は、今後数年の最優先事項として「雇用創出」と「農民の福祉向上」を挙げている。全労働人口の45.3%を占める農業部門での産業政策を強化することで、雇用創出も生み出せるのではないかとの狙いがあるようだ。農業生産そのものだけでなく、農業加工業などの関連分野で中小企業の活動が活発化することによって、雇用が生まれると期待されている。

また、ドロジャトウン経済担当調整大臣も、経済の回復のためには雇用創出が鍵となるとし、これを今後3年間の優先事項としていく考えを明らかにしている。また並行して、地方分権の強化、不良債権問題の解決、為替の安定などにも取り組んでいくことを明らかにした。

インドネシア福祉労働者組合のパクパハン議長は、新政府の雇用創出政策に対して、インドネシア人の大部分が居住する農村部での経済発展を進めることにより、雇用創出が計られるはず、とコメントしている。そのため、農業省や林業省、運輸省、観光省などが連携してこの政策にあたることが望ましいことも付け加えた。

同様にインドネシアテキスタイル協会(API)やインドネシア商工会議所(Kadin)も、新政府に対して雇用創出政策に重点を置くように要請したと伝えられている。

しかし、インドネシアの2~2.5%という高い人口増加率、及び労働人口増加が問題となる。専門家によると、この人口増加を支えるには経済成長率が7%程度必要であると推測されており、2000年の経済成長率が4.7%であったことを考慮すると、世界的な経済不振のなか上記の目標を達成することは不可能ではないかとも見られている。

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