失業者数、380万人に増加

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年11月

2001年7月のドイツ全体の失業者数は約380万人で、 シュレーダー首相が連邦議会選挙の年(2002年秋)までに失業者数を350万人以下にするとした公約の達成が、 幾分困難な様相を呈してきた。

連邦雇用庁の8月7日発表の7月の労働市場統計によると、 失業者数は、 ドイツ全体で379万9000人(前月比で10万5000人増加、 前年同月比で5000人減少)、 西独地域では244万5000人(前月比で6万5000人増加、 前年同月比で2万1000人減少)、 東独地域では135万4000人(前月比で4万人増加、 前年同月比で1万6000人増加)だった。 失業率は、ドイツ全体で9.2%で、 6月の8.9%から0.3ポイント上昇した(西独地域は7.3%、 東独地域は17.3%)。 季節調整値としての失業者数は、 7カ月連続で増加しており、 7月は386万4000人で、 前月比で1万1000人増加だった(グラフ参照)。

登録求人数については、 7月はドイツ全体で35万1000人(6月は32万4000人)で、 前月比で2万7000人増加し、 前年同月比では3万8000人減少だった(季節調整値については、 グラフ参照)。

訓練職市場については、 2000年10月から2001年7月までの期間に、 公共職業安定所の登録求人数(訓練職数)は57万800人で、 前年同期比で5900人増加し、 割合では1%の上昇だった(前年同期比での上昇は、 5月は2.0%、6月は1.6%だった)。 5900人の増加のうち、 事業所での訓練職の増加が5300人(合計54万9100人)、 事業所外の職業訓練機関での増加が600人(合計2万1600人)だった。

他方、 就業者数については、 連邦統計庁発表の最新の統計によると、 ドイツ全体の就業者数は5月は3865万5000人で、 4月の3859万9000人から5万6000人増加しているが、 前年同月比では1万8000人の増加に過ぎない(季節調整値については、 グラフ参照。 2001年初めから漸減傾向にある)。

シュレーダー首相の失業者数350万人の公約に対して、 ヤゴタ連邦雇用庁長官は、 従来2001年の年間平均失業者数370万人の目標値を掲げてきたが、 このような停滞する労働市場の統計発表を受け、 同長官は、 目標値の達成は依然として可能だが、 それには秋に急速な景気の上昇があることが条件になるとしている。

7月の労働市場の低迷については、 連邦雇用庁は景気の減速と季節的要因を主な原因としているが、 好ましくない統計上の数値としては、 登録求人数(季節調整値)がさらに減少したこと、 訓練職市場が前年比で僅かに好転したに過ぎないこと、 金融市場が重視する失業者数(季節調整値)が年初から漸増していること、 就業者数(季節調整値)が年初から毎月漸減していることを指摘している。 ヤゴタ長官は、 7月の季節的要因の主なものとしては、 夏季特有の市場の停滞、 年半ばでの解約告知の増加を挙げている。 さらに同長官は、 7月の失業は、 90%が季節的要因に起因し、 10%が景気の全体的な減速に起因するとしている。

また、 このような労働市場の改善の鈍化にたいして、 ヤゴタ長官は、 連邦雇用庁が連邦政府の補助金の増額を必要とすることになるかもしれないと述べている。 同長官によると、 現在の予算では2001年の補助金額は120億マルクだが、 この額は年間平均失業者数360万人に対応しているので、 さらに増額要求の可能性があるという。

連邦雇用庁の統計発表を受けて、 与野党、労組は以下のように反応している。

野党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は、 連邦政府の無能を強く批判している。 同党は、 シューレーダー首相は公約の失業者数350万人をもはや達成できないから、 公約の失敗を認めるべきであるとしている。

与党社会民主党(SPD)は、 7月の失業者数の増加は、 夏季特有の季節的要因によるに過ぎないから、 政府は景気回復と労働市場改善に依拠した経済政策を今後も継続すべきだとしている。

これに対して労働組合は、 失業状況の改善がないのは、 使用者側が「雇用のための同盟」の会談で約束された超過労働の削減を実行していないからだとして、 使用者側を厳しく批判している。

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