MTUC、経済減速で外国人雇用の即時凍結もとめる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

 マレーシア労働組合会議(MTUC)は7月4日、経済減速にともなう大量解雇に備えるため、民間使用者による外国人雇用を即時凍結するよう政府に求めた。

ランパックMTUC委員長は、国内には現在の求人需要を満たす以上の邦人労働者がいるにもかかわらず、使用者はこうした邦人労働者を犠牲にして安価な外国人を雇用しているとし、政府にこれを禁じるよう求めた。

MTUCはこれまでにも邦人の雇用確保のために外国人の雇用凍結を求めてきた。最近では2001年1月に、使用者が外国人の雇用権を乱用しているとして外国人の受け入れを停止するよう政府に求めている。これを受けて政府は3月、邦人の雇用を優先させる方針を打ち出したが、使用者の外国人需要が根強いことから、必ずしも徹底されていない。経済減速による大量解雇の可能性が出てきたことから、MTUCの今回の再要求となった。

有力シンクタンク、「政府の外国人政策は誤り」

また、国内の有力シンクタンク、マレーシア経済研究所(MIER)のモハマド・アリフ所長は、7月17日に開催した年次経済報告会で、農業など斜陽産業の競争力を維持するために低技能の外国人労働者の流入を許してきた政府の政策は誤りであるとの認識を示した。

アリフ所長によれば、外国人労働者の流入による社会的コストは莫大であり、それまで上昇していたマレーシア人の労働生産性は、外国人労働者が流入して以降は低下してきた。低廉な労働力が利用可能になったことで多くの企業がオートメーション化を遅らせてきたためだという。

アリフ所長は、低付加価値で土地集約的な産業の競争優位を維持する合理的根拠はなく、政府はむしろ新産業の発掘に努力を傾注すべきだとしている。

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