使用者連盟と労働総同盟、「雇用のための同盟」維持で共同声明を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

ルフトハンザ紛争でパイロットの給与の大幅上昇があったこと(本誌2001年9月号参照)等の影響もあり、 2002年の連邦議会選挙の年の賃金協約交渉をめぐって、 純然たる賃上げ闘争を行うとのIGメタル等労組の発言とこれに反対する使用者側の発言があり、 過去数週間労使の関係にはさざ波が立っていた。 そしてこれが「雇用のための同盟」に影響することが懸念されていたが、 このような状況を踏まえて、 使用者連盟(BDA)と労働総同盟が2001年7月20日、 同盟維持を標榜する概略以下のような共同声明を発表した。

まず、 過去1年間に60万人の新たな雇用(金属電気産業だけで10万人)が創出されたことが確認され、 BDAとDGBが今後も過去の同盟の取り決めにしたがって訓練職と雇用の創出に努力することが謳われた。 また従来どおり職業上の資格付与に努め、 労働意欲と能力のある若年者に職業教育の場を提供し、 特に今後も協約並びに事業所レベルでこれらのことがさらに実施される期待が表明された。

超過労働については、 パートタイム雇用、 期限付き雇用の利用、 各種労働時間貯蓄等による労働時間の弾力化の利用によって、 これを今後も削減する努力を行うことが同意されている。

年金については、 公的年金を補充する事業所年金、 企業年金に関する年金改革法で、 事業所レベルでの年金拡充の可能性が開かれたことが述べられ、 2001年3月4日の「雇用のための同盟」の会議で表明された期待をさらに推し進めて、 協約交渉当事者が次の協約交渉までに、 協約レベルと事業所レベルでの年金規制について提言することの期待が強調されている。

また、 EUの東方拡大による拡大地域の経済の強化や労働力の移入の調整についても言及されている。

シュレーダー首相は、 過去数週間の労使の不協和音を踏まえ、 この共同声明の内容に満足を表明している。 ただ、 この共同声明は、 従来の論点を確認し、 次回の「雇用のための同盟」を準備する地ならし的な意味はあるが、 訓練職の増設や超過労働の削減についての企業側の努力が不十分だと労組に判断されれば、 来年の賃金協約交渉は純然たる賃上げ闘争に転じる可能性を依然残しており、 今後の動向が注目される。

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