貧困・社会的疎外者対策計画を発表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

ギグー雇用連帯相は、7月18日、20億フラン規模の貧困・社会的疎外者対策計画【Le Programme national d'action de lutte contre la pauvrete et l'exclusion social】を発表した。本計画は、政府が社会的疎外者対策として1998年に開始した3ヵ年計画を引き継いだもので、技能や資格のない若者、長期失業者などを対象に、就職・再就職支援活動を強化し社会復帰を図ること、およびすべての者が最低限の社会的権利を享受できるようにすることを目的としたものである。なお、今回公表された計画では、2002年及び2003年の2ヵ年についての具体的対策を盛り込んでいる。

2002年度予算においては、雇用連帯省の予算が前年比で減額となっており、そのため社会的弱者の支援がおざなりになっているとの批判が出るのをかわすため、今回、先回りをして本計画を公表したものとみられる。

主な内容は以下のとおり。

雇用促進に係る対策

  • "TRACE【Trajet d'acces a l'emploi】" (注1)の対象者を現行の6万人強から12万人に拡大。
  • TRACEへの登録若年者のうち職業訓練中でかつ無報酬期間について支給される月額300ユーロの「求職者給付」の新設。
  • 雇用から遠ざかってしまっている者、具体的には約60万人の社会復帰最低手当(RMI【Revenu minimum d'insertion】)受給者及び特別連帯手当(ASS【Allocation specifique de solidqrite】)受給者に対して、雇用庁・職業安定所(ANPE)にて個別に綿密な技能評価と問題点の解明を行い再就職に導く「再出発プログラム【Programme d'action personnalise pour un nouveau depart】」を実施。また、これらの者が再就職した場合、これらの手当と給与が併給される期間を3ヶ月延長して6ヶ月とし、所得の激変緩和を行う(注2)

基本的権利享受のための対策

  • 担当省庁が異なるためこれまで一ヶ所では入手困難であった権利・福祉・教育等に関する各種情報を集積する「連帯の家【Maison de la solidarite】」を2002年,2003年にそれぞれ50ヶ所づつ新設(1ヶ所当たり2年で50万フランを国が補助)。
  • 社会復帰宿泊センター【CHRS:Centre d'hebergement et de reinsertion social】の1年当たり500床の増床。
  • 文盲撲滅のための対策強化(1,500万フランの拠出)。
  • 住居の不衛生・鉛害対策を最も被害の多い11県で優先的に実施(1億7千万フランの拠出)。
  • 健康相談所(PASS【Permanence d'acces aux soins de sante】)の100ヵ所増設。

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