欧州委員会、年金に関する政策文書を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年10月

欧州委員会は2001年7月、年金に関する政策文書を公表した。文書の中で欧州委員会は、高齢者等に対する年金制度が十分な収入を提供し、同時に財政的に持ちこたえられるようにするために、欧州レベルでの協力体制の構築が必要であるとの見解を明らかにした。

今回の文書は、欧州理事会の要請に応えたもので、欧州委員会が年金に関する政策文書を示したのは2000年10月に引き続き2度目である。今回は、前回の文書よりさらに踏み込んで、加盟各国に対し10の目標を設定することで欧州レベルでの協力体制の構築を提案している。そして、2001年末までに協力体制を築くよう提言されている。

目標については、欧州委員会は現時点で年金制度に関し3つの大きな目標を提案している。まず第1に「年金水準の妥当性」である。つまり、年金制度は個人が退職後十分な生活水準を維持できるものでなければならず、かつ社会的排除を予防するものでなければならない。第2に「財政的持続性」である。すなわち、就業率を高め、公的債務を削減する必要がある。また年金制度における調整は、現役世代と退職世代の公正なバランスをとらねばならない。第3に「年金制度を変化する社会に適合させること」である。すなわち、年金体系は現在の労働市場における柔軟性と秩序の必要性に矛盾するものであってはならない。そして、年金制度における性差別は段階的に解消されるべきである。

欧州委員会の提言に従うと、加盟各国は適切な年金水準と年金制度の財政的持続性を確保するための方策やプランを示した報告書を準備する必要がある。その際には、政府機関やソーシャル・パートナーなどの参加が求められる。そして、欧州委員会と欧州理事会が提出された各国の戦略を分析することになる。

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