政府、中小企業振興策を強化
2001年の経済成長は2%程度と予測されているタイ経済は、 国家経済社会開発局をはじめとする各機関で経済成長率の下方修正が行われ、アメリカや日本の景気後退に伴う輸出部門の成長鈍化が予測されている。
ソムキット蔵相は、経済政策の優先順位として経済成長と公平な所得分配、及び将来へのファンダメンタルズの強化を挙げている。特に所得分配に関しては、経済成長率の高さよりも、その恩恵を誰が受けるかが問題であると、公平な成長つまり公正な所得分配の達成を強調した。
そのような状況下で、政府が力を入れるのが中小企業振興策である。中小企業は大企業に比べて市場の変化に対応しやすく、柔軟性があり、雇用創出も期待される。
タクシン首相は、首相就任時より農村活性化と雇用創出を目的とした政策を打ち出してきた。6月上旬に開催された中小企業振興のための政府主催のワークショップに参加した際には、「新鮮なアイデアが不足している」と、自らも通信会社を起業した経験を持つだけに、現状の政策に不満を表した。そして、タイの中小企業に必要なものは、IT化に沿ったマーケティング、経営、インフラ改善のためのネットワーク作りであると述べた。そして「タイランド・プラザ計画」という中小企業を対象にした流通システムを構築していくことを明らかにした。
資金面での問題
中小企業が直面する最も大きい問題として、資金の調達がある。2001年6月25日、中小企業と貧困者への融資を専門とした「ピープルズバンク」が誕生し、話題を集めている。この銀行は政府系ガバメント・セービング・バンクの傘下で、1億5000バーツ(1バーツ=円)の融資額を、主に中小企業経営者と貧困者層に割り当てるという目的で設立された。オープン初日には1万1000人が口座開設のため殺到した。人気の要因は、月利1%という金利の安さで、従来商業銀行から借り入れが困難だった所得層の人々が融資を申し込むことができる点である。
世界銀行グループの1つ、国際金融公社(IFC)も6月19日、タイの中小企業振興と地元の資本市場を活性化するために総額2億2000万米ドルを投資することを発表した。
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