欧州理事会、EU拡大や労働の質、人口の高齢化について議論

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

EUの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年9月

欧州理事会(欧州サミット)が2001年6月に開催され、EU拡大や人口の高齢化、労働の質などについて議論が交された。そして、EU拡大に関する枠組みや持続的発展に関する戦略が合意され、さらに成長を維持し構造改革を促進するための経済政策に関する指針も用意された。

ここでは、主に雇用と労働の質に関しどのような議論が行われたのかを見てみたい。 

欧州理事会は、完全雇用と労働の質というテーマの下でまず現状分析を行っている。それによると、2000年のEU経済は大幅に前進し、失業率もここ10年間で最低のレベルとなった。今後とも、欧州経済の基本は堅調であるといえよう。

その上で、市場における競争促進のための構造改革の早期実現や内部市場に対する規制の簡素化が、雇用創出やEU経済の繁栄に不可欠であると指摘されている。そのためにも、加盟各国は高齢労働者の就業率の増加や女性の雇用機会の改善などにより、労働力の十分な活用を図らねばならない。

次に人口の高齢化について、欧州理事会は包括的なアプローチが必要であるとしている。具体的には、年金制度の維持に関し3つの基本原則を支持している。すなわち、①制度がその社会的目標を達成できるよう保護措置を講ずる、②財政面での持続性を確保する、③変化する社会的ニーズに対応する、である。そこで、欧州理事会は2002年までに年金制度に関する中間報告書と保健医療・高齢者介護に関する方針を明らかにする報告書を用意することになった。

ちなみに2001年7月より、議長国はスウェーデンからベルギーに交代する。

関連情報