雇用・社会問題理事会、3つの指令案について政治的合意に至る

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年9月

雇用・社会問題理事会は2001年6月、3つの指令案に関し政治的合意に達した。合意に達したのは、①労働者に対する情報開示と協議に関する指令案②職場での騒音に関する安全衛生指令案③職場での男女平等取扱いに関する指令改正案である。

まず雇用・社会問題理事会は、労働者に対する情報開示と協議に関する指令案をめぐる「共通の立場(Common Position)」について満場一致で合意した。欧州委員会の提案に概ね沿った合意がなされ、制裁規定に関しては、加盟各国がより効果的で、均衡のとれた抑止的な罰則を作ることが承認された。しかし、労働者に対する情報開示と協議が適正に行われなかった場合の大量解雇の差し止めを定めた制度については、承認に至らなかった。「共通の立場」が理事会によって正式に採択されれば、指令案は欧州議会に回付される。

次に、職場における騒音に関する安全衛生指令案をめぐる「共通の立場」についても、理事会は満場一致で政治的合意に達した。欧州委員会は、騒音、振動、電磁放射線等に関し安全衛生指令案を作成しており、既に振動に関する指令案については「共通の立場」が政治的に合意されている。今回の騒音をめぐる指令案は、初めて騒音に関し量的規制を設け、使用者に対しても予防措置を講じるよう求めている。また、適用対象も拡大され、港湾と航空輸送部門が加わった。

第3に、1976年の職場での男女平等取扱いに関する指令改正案をめぐる「共通の立場」も満場一致で政治的合意に達した。改正案は、欧州裁判所の一連の判決を考慮し、指令を新しく改定することを意図している。合意に達した事項は、①セクシュアルハラスメントが性差別の一形態と認められ、使用者はセクシュアルハラスメントのない職場を提供することが求められる、②父親が育児休業を取得する場合、父親は職場復帰の際に母親と同等の地位に取り扱われねばならない、である。

同指令改正案については、政治的合意で取り上げられなかった事項がいくつかあり、今後とも交渉が行われていくものと思われる。

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