16歳未満の若年労働禁止をILOに再度、約束
―しかし実効には疑問
政府は6月11日、ILOに対し16歳未満の若年者の就労は憲法によって禁止されていると改めて返答した。
実はブラジル政府は過去に何回も、「16歳未満の労働を禁止するが、例外的に見習い資格としての14歳以上の若年労働を認める」ことを通知していた。これに対しILOは見習いの例外を認めず、最低就労年齢は14歳か16歳かに統一し、「就労が認められるための最低年齢に関する条約(ILO第138号条約)」を批准するよう改めて要請していたものである。
政府は5月に全国児童青少年権利審議会のメンバーとなっている労使代表を集めて、児童労働の根絶と予防を目的とするフォーラムを開催、14歳以上の見習いに障害となることなく最低年齢を16歳とする条約を批准することについて討議を行った。この協議の結果をもとにして政府はILOに対し公式に16歳を労働の最低年限にすると連絡した。
しかし憲法では16歳を最低就労年齢に定めていても、現実とは遥かに掛け離れていることがブラジル地理統計資料院の公式資料にも現われている。特に非公式労働市場に不法就労が多い。
同資料院のランダム調査でも99年に14~16歳の若年者の約260万人が非公式市場で働いていたと記録されている。労働省自体が「この問題はマジックのようにすぐに解決できるものではない」と規定を守ることの困難さを認めている。
政府は、児童を通学させず働かせている父兄を労働法によって処罰する規定を発令したり、義務教育適齢期にある児童1人を仕事から開放して通学させるごとに一定額の奨励金を支給するなどの施策を採用しているが、児童を働かせている貧困家庭の父兄を処罰出来る可能性はなく、また通学させるための報償金は貧困家庭にとって魅力が持てるほどの金額ではなく、効果は上がっていない。
このため今後、現実に児童労働を減少させることの出来る如何なる政策を実施に移すのか、政府にとって巨大な挑戦になると見られている。
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