望まれる中小企業労働者の雇用条件の改善政策
中小企業の労働者の雇用環境が問題になっている。
民間のレビティカス基金が、2000年4月に実施した調査結果によると、中小企業の44%が労働者に対し法定最低賃金以下の賃金しか支払ってなく、具体的には、法定最低賃金の60%前後で雇用されている。労働者に対し、時間外労働、休日出勤、病気欠勤に対する手当も支払われていない。クリスマスボーナスがなく、給料の5%が就職斡旋業者に支払われ、常勤の労働契約を避けるために雇用契約を5カ月間にされるほか労働条件の改善を目的とした団体交渉権も事実上無視されている等があげられる。
多くの中小企業の経営者は、フィリピン経営者連盟(Ecop)等の全国的な経営者組織には未加入である。このため中小企業の労働者の雇用条件は、大企業より格段に厳しいものとなっている。
自由労働者連合(FFW)から離脱して組織された、自由労働者連合(CFW)のエフレン・アランザメンデス会長は、中小企業の労働条件の改善に向けて運動を開始したことを明らかにした。
雇用労働省は、中小企業の労働者の現状について全国的な調査は始めていないが、これらの事実を一部認めている。商工省は、中小企業の企業経営者を指導する責務を負っているが、現在は企業の利益確保を重視していると見られている。
このため、中小企業で働く労働者は、政府に対して経営者が法律で定められた最低賃金法や労働者福祉法を遵守するよう行政指導を希望している。
国家統計局(NSO)の1999年フィリピン標準産業統計によると、中小企業は、全国の総企業数の90%を占め、826,783企業にし、小売業、サービス業、製造業等幅広く存在する。NSOの労働力調査によると、1999年10月現在で、372万人の労働者がマニラ首都圏で働いており、この中約330万人、91%が中小企業で働いている。
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