社会保障制度、運用失敗により74億ペソの借入金
民間企業の労働者2,300万人が加入し、病気、出産、傷害、労働災害などへの保障と年金給付を行っている社会保障制度(SSS)が、2000年会計で資金運用の失敗により、民間銀行から74億ペソの借り入れをしていたことが明らかになった。運用失敗の原因は、公式には発表されていないが、エストラーダ政権時の不明瞭な資金運用によると見られている。
SSSは、公営・民間企業の株式を担保に、フィリピンランドバンク、フィリピンヘルスインシュアレンス会社、ファーストメトロインベストメント会社等より74億ペソを借り入れていた。
エストラーダ前大統領の幼少時代からの友人で、1998年にSSSの理事長に指名された 前理事長のカルロス・アレラノ氏は、借入金は1年以内に返還される予定で、支払予定の年金資金を充足するために一時的に必要だったと述べた。
SSSの新経営陣は、2001年4月、2000年に行った500億ペソの株式投資に関連して80億ペソの損失が生じたことを認め、行政監察局と汚職対策委員会に問題取り引きについて調査を開始するよう依頼した。
これを受けて行政監察局は、SSSが、1998年12月ベレ会社の株式1億4900万株を平均3.1ペソで購入した取り引きについて調査を開始した。
アレラノ前理事長は、行政監察局の調べに対し、ベレ会社の7億4500万株の購入をエストラーダ前大統領に繰り返し強要されたと説明している。
また、SSSは、エストラーダ前大統領からの命令で、ベレ会社に3億7500万ペソを貸し付ける予定だったことも明らかになった。
エストラーダ前大統領の側近のウイリー・オシエルの供述書によると、エストラーダ前大統領は、SSSへのベレの株式売却により少なくとも1億8970万ペソの手数料を受領した、との疑いが浮上している。
また、行政監察局の調べによると、1999年だけで、SSSと公務員社会保障制度(GSIS)は、ベレ会社に総額18億ペソを投資し、これが財政上大きな負担となったことが解明されているがこれらの調査結果をエストラーダ前大統領は否定している。
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