マレーシア政府、5000人のインドネシア不法入国者を拘束

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

マレーシア政府情報機関ベルナマの報道によると、2001年5月首都のクアラルンプール南方の島へ不法に入国しようとしたインドネシア人約5000人が身柄を拘束された。その後、インドネシア人不法入国者は、マラッカ海峡のバタム島に収容されたという。現在マレーシア全土の9つの収容所に、約2万人の不法移民が拘束されており、中でも政治・経済的な不安定要因を抱えるインドネシアとフィリピンからの労働者が多い。マレーシアは1997年の経済危機にうまく対処し、東南アジアの中でも高い所得水準を誇る国だけに、入国者が絶えない。1999年には6万人以上、2000年には9万7000人の不法就労者を強制送還している。

在マレーシアのインドネシア大使館によると、パスポートや労働契約書などを含めた必要書類を持っていなかったインドネシア人が、ペナン、ペラック、スランゴール、ヌグリ・スンビラン、メラッカ、パハン、カリマンタン、ジョホールなどに拘束されており、ほとんどは、東ジャワ、ロンボク、西ヌサ・テンガラの出身者であるという。マレーシアとインドネシアは地理的にも隣接していることや、インドネシアの経済状況を考えると、移民を完全に取り締まることは難しいと考えられている。

不法労働者の流入が絶えない背景として、インドネシアの高い失業率と賃金格差が考えられる。1999年の失業率は6.36%。(政府発表。不完全労働者や偽装失業者を含めると、実際の数値はされに大きいとみられる。詳細はJILホームページ海外労働情報参照)、マレーシアの最低月額賃金が800リンギ(184万ルピア、216米ドルに相当)に対し、インドネシアの月額最低賃金は、前述の東ジャワ州が22万ルピア(100ルピア=円)であり、約8倍の差がある。

マレーシア政府は、不法者の増加が、犯罪の増加、不法貿易に繋がっているとして取締りを強化している。不法に外国人を雇用した使用者に対しては、法律によって5000~1万リンギの罰金もしくは最長5年の禁固刑が科せられる。

現在マレーシアには、登録済みのインドネシア人労働者が60万人存在するが、不法就労者を含めると就労するインドネシア人は200万人以上との推測もある。在マレーシアのインドネシア大使館の担当者は、「2000年だけでも、650人のインドネシア労働者が犯罪に関わったため逮捕されている。政府は、就労目的で海外へ出掛ける労働者の問題に対してもっと真剣に取り組んで欲しい。さもなければ、2カ国間の関係を険悪なものにしかねない」と述べている。

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