失業問題が一層深刻化

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年8月

失業問題が、深刻化している。

国家統計局(NSSO)の1999年度の全国サンプル統計調査結果は、失業率が上昇したことを示している。1993年度と99年度を比較すると、人口1000人当たりの失業者の割合は、地方では、男性が56人から72人、女性が67人から73人、都市の男性で56人から70人と増加している。

この原因は、インドは1993年から97年にかけて、高度経済成長を達成したが、その後景気が停滞し、新規雇用を創出できなかったことにある。経済改革により第2次産業に大量の失業者が生まれた。経済の自由化により雇用が増加したのは第3次産業だけである。これは、政府がIT関連の事業等を中心に、様々な補助政策によりこの部門を発展させた結果とみられている。しかし、これらのハイテク産業に再就職できる失業者は限られている。

失業問題は、政府にとっては長期的な問題である。第1次5カ年計画の始めには、330万人だったのが、第4次5カ年計画の終わりには1400万人に増加していた。20年間で424%増加し、この時期すでに、失業問題の解決は政府の重要な政策課題の1つになっていた。

人口1000人当たりの労働者数は、地方で417人、都市部で337人である。これは、1993年度の地方で444人、都市部で347人と比較すると減少している。また、1993年度と99年度の調査結果を比較すると、10歳から19歳の雇用者数が減少したが、これは進学率の増加による影響とみられる。

中央統計局が発表している求職登録者の変動から見てみると、1980年代の前半は、労働市場における求職者数は、毎年約200万人ずつ増加した。1980年代後半、求職者数は、減少傾向にあった。1990年から1992年にかけて、求職者数は年間100万人増加した。1993年の増加は39万人であった。97年以降は毎年100万人ずつ増加している。

人口1000人当たりの失業者数(単位:人)

  地方 都市
男性 女性 男性 徐背
1977年度 71 94 92 145
1983年度 75 92 90 110
1987年度 46 88 67 120
1993年度 56 67 56 104
1999年度 72 73 70 94

出所:NSSOの1977年度から99年度の全国サンプル統計調査結果

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