2000年の大卒者、約4割が未就業

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

労働福祉省の推定によると、2001年3月に労働力として供給された大学新卒者は10万人以上とされ、その多くが就職活動に難渋したと見られている。その事実を裏付ける統計として、大学省の調査によれば、2000年の大卒者約9万人のうち、1年後の2001年に未だ未就業である割合が37.7%にも上っていることが明らかになった。

政府は対策として、新卒者の起業資金を低利で融資する基金を設立することを模索しており、早ければ2001年末には開始される予定だ。しかし、一般の大学生は従業員になるということは想定していても、経営者になるための訓練はなされていないことが殆どである。1999年にも大卒者の未就業が問題となり、「宮沢基金」や世界銀行からの資金を下に、非常勤公務員として約1年間の雇用を提供したという前例がある。

学生が就職の際に最も障害となった要因は、第1に「希望に見合った職を探せなかったため」が27.9%で、次いで「就職機会を探す困難さ」が22%、さらに「初任給の低さ」が15.8%となっている。1997年の経済危機前には、月給が1万バーツを超える企業を探すことは非常に容易であったのにもかかわらず、4年後の現在では、特殊な能力を持たない大卒者の初任給は7000バーツ程度という企業が多くなっている。

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また、大学省の調査によれば、2000年の大卒者のうち、国立大学及び国立機関卒の者の未就業率が33.6%であったのに対して、私立大学卒者は46.3%であった。タイの3大大学

といわれるチュラロンコン、タマサート、カセサート各大学の2000年の未就業率はそれぞれ、42%、43%、41.8%と非常に高い数字を示している。一方、コンケン大学やナレスアン大学など地方国立大学では、20.7%及び19.4%と低い数字となっている。

一つの要因として、前述のような有名大学の学生は相対的に裕福な家庭の学生が多く、未就業であっても親の支援があるために困らないことが想定される。また、所得が高い層の学生は大学院への進学率も高く、欧米や日本への留学生も多い。就職難が大学院進学率を高めたとの推測もある。

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