欧州労使関係研究所ジェンダーに関する年次統計情報を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

欧州労使関係研究所(EIRO)は、ノルウェーと加盟各国(オーストリア,ベルギー,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,ギリシャ,オランダ,アイルランド,イタリア,ルクセンブルグ,ポルトガル,スペイン,スウェーデン,英国)の1999年と2000年の労使関係と雇用に関する統計をジェンダー格差の観点から検討し、その結果を公表した。

EIROは、今回の報告を通し、労使関係や雇用における主要な問題について男女に区分した統計情報を提供することを目的としている。

まず平均賃金については、イタリア以外の国から統計を得ることができた。それによると、EU加盟国とノルウェーを平均した男女間の平均賃金格差は男性を100とした場合、女性は78.6となった(1999年)。北欧諸国は相対的に格差が少なく、他方オーストリアで格差がもっとも大きかった。次に、労働時間については、フルタイム労働者の実労働時間に関する10カ国(オーストリア,デンマーク,フィンランド,フランス,ギリシャ,オランダ,ノルウェー,スペイン,スウェーデン,英国)の統計に基づき、男性のフルタイム労働者が女性のそれより、週あたり平均して2.4時間長く働いていることが分かった。またこの10カ国からスウェーデンを除いた9カ国の統計では、パートタイム労働者の平均実労働時間に男女間でほとんど差異がないことが明らかとなった。ただ、国によるばらつきがかなり見られる。

就業率については、EU加盟国とノルウェーの16カ国を平均した男性の就業率が女性よりおよそ20ポイント高かった(男性は69.7%、女性は51.9%)。16カ国すべてで、男性の就業率は女性より高かった。失業率については、16カ国を平均した女性の失業率が男性よりも2.6ポイント高かった(女性が9.2%、男性が6.6%)。ただし、12カ国では女性の失業率が男性を上回ったのに対し、ノルウェーやスウェーデン、英国では男性の方が高く、アイルランドは両者が同一であった(失業率、就業率とも1999年の数値)。

労組組織率は、統計の入手に困難を伴ったが、オーストリア,ドイツ,オランダ,英国,フィンランド,ノルウェー,スウェーデン,デンマークの8カ国について男女別の労組組織率に関する情報が提供されている。8カ国を平均した男性の労組組織率は55.4%で、女性のそれは51.5%であった。男性の組織率が女性をかなり上回ったのは、オーストリア、ドイツ、オランダで、英国ではそれほど顕著な格差は見られなかった。反対にフィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマークでは女性の組織率が男性を上回っていた。

パートタイム労働者に関しては、ルクセンブルグとポルトガルを除く14カ国の平均で、パートタイム労働者の77.1%が女性により占められていた。ただパートタイム労働者の定義は各国で異なる。また、パートタイムで働く雇用者の割合は、女性では平均29.9%であるのに対し、男性は6.2%に過ぎなかった(1999年の数値)。

臨時雇用または期限付き雇用については、臨時または期限付き労働者に占める女性の割合は13カ国の平均で51.4%であった。臨時または期限付きで働く雇用者の割合は、16カ国の平均で女性の場合は12.8%、男性では9.9%であった(1999年の数値)。これらの労働者についても、各国でその定義が異なる。

最後に、労働者の教育レベルに関し、労働力人口のうち大学レベルの教育取得者が占める割合がまず分析されている。16カ国を平均して、女性の18.7%、男性の17.8%が大学レベルの教育を受けていた。中等教育のみを修了した者が労働力人口に占める割合は、平均して女性の37.9%、男性の35.8%となっている。

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