欧州理事会、ストックホルムで経済・社会問題を議論
―中期雇用目標を合意

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

2001年3月、ストックホルムで欧州理事会が開催され、2010年までに欧州をもっとも競争力があり、かつダイナミックな知識社会にするという戦略的目標が確認された。こうした目標を達成するために、今回のストックホルムサミットでは、より多く、かつより良い雇用の創出、経済改革の加速化、欧州社会モデルの改善・現代化、新しいテクノロジーの利用等に関し議論が行われた。

ここでは、雇用創出と欧州社会モデルについて主にどのような議論が展開され、そしてどのような合意がなされたかを取り上げる。

「より多く、かつより良い雇用の創出」について、まず欧州理事会は中期雇用目標を設定した。目標は、2005年1月までにEU全体の就業率を67%に、そして女性の就業率を57%とするとされた。さらに人口の高齢化が社会保障制度に与える影響を考慮し、2010年までに55歳から64歳の平均就業率を50%とする目標も合意された。教育訓練の重要性も議論され、2002年までに教育訓練制度の目的に関する追跡調査結果等を報告することが求められた。これ以外に、労働者の移動を促進する方策等が議題となった。

「欧州社会モデルの現代化」に関しては、十分に計画され機能的な社会保障制度の役割が強調され、そのためには継続的な欧州社会モデルの現代化が必要であることが確認された。そして、障害者に対する均等な雇用機会、男女平等、柔軟な職場組織、生涯学習、従業員参加制度、職場の安全衛生といった労働における質の改善が議論され、欧州理事会と欧州委員会は2001年までに労働における質に関する指標を作成することとなった。

また、加盟各国に対しては貧困や社会からの排除に対処するための行動計画実施を優先することが求められた。そして、高齢社会の到来により、医療、年金、介護といった諸制度の妥当性の確保と、国家財政維持に関する明確な戦略が求められているとの認識に基づき、関係機関に対し更なる調査研究が要請された。

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