経済・雇用動向、見方割れる

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

今後の労働市場について明るい見通しを示す調査報告が4月に複数発表されたが、経済界ではむしろ、労働市場の長期動向に関して懸念が表明されている。

『労働力調査』によれば、2001年2月までの3カ月の間に、失業者は4万2000人減って154万人まで減少した一方、雇用者数は11万3000人増加した。また政府の公式統計では、小売高は年率4.8%で伸びており、平均実質収入もイングランド銀行金融政策委員会(MPC)の目標数値4.5%を上回る5%で上昇している。物価・コスト圧力も抑えられており、インフレが進行する気配はない。

さらに職業紹介業、マンパワーの『季刊雇用観測調査』最新版によれば、第2四半期にスタッフの増員を予定している企業は28%、減員を予定しているのは9%で、両者の差である+19という数値は、第1四半期の+12を上回り、2000年通年の平均値とほぼ同じである。同調査は30年間続いており、MPCも活用しているように、英国では雇用動向を示すものとして最も信頼されている指標の1つである。

ところが、主要経済団体は、4月に入って今年の経済成長をそろって下方修正している。英国経営者協会(IoD)は、当初2.5%としていた予測を2.1%に修正している。IoDによれば、同会員らの先行き見通しは、1998年のロシア金融危機以来、最も悪い状態だという。

また英国産業連盟(CBI)は、アメリカ経済の減速と口蹄疫の影響を考慮して、当初予測の2.5%を2.0%に同じく下方修正しており、人員削減も5万人を突破すると予測している。

こうした見方を裏づけるかのように、購買供給勅許研究所(The Chartered institute of Purchasing and Supply)の調査では、経済活動指標は57.1%から56.3%に低下している。特に顕著なのが製造業で、受注と産出がこの2年間で初めて低下を記録。また輸出も2000年6月以来初めて低下を経験した。同調査の回答者らは、経済活動の減速の原因としてアメリカの需要減をあげている。

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