電子産業で人員削減

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年7月

電子産業で人員削減に踏み切る企業が増えている。4月にはモトローラとマルコーニが人員削減を発表した。アメリカ経済の減速に対応したものと見られる。

モトローラは、エジンバラ近郊のバスゲート工場の閉鎖を決定した。これによにり3200人が失職する。同社は世界全体で2万人の人員削減計画をすでに実施しているが、そこには英国のスウィンドン工場の700人も含まれている。携帯電話の需要が落ち込んでいることが一因である。

情報通信機器メーカーのマルコーニは、英国で1500人を削減する。これは同社が世界で雇用している人員の6%に相当する。これにより、リバプールとコベントリーの部品工場にも影響がでるのは確実と見られる。さらに製造科学金融組合(MSF)は、同社の研究開発部門でも削減がでることを懸念している。

両社の人員削減はいずれも、アメリカ経済の減速が原因と見られている。マルコーニは全収益の40%を北米から上げているだけに、米経済の不振の影響は大きい。同社のライバル企業も同様に世界中で人員削減を進めており、たとえば世界最大の情報通信機器メーカーであるルーセント・テクノロジーは、全従業員の1割に当たる1万人の削減を発表している。

今回のマルコーニの決定に関して、経済界はおおむね支持している。マルコーニは収益性の低い職を廃しながらも、収益性の高い職を創出しており、同社の将来の雇用は改善されると見られるためである。一方、マルコーニの最大労組MSFは、決定に先立って相談がなかった点に特に反発を強めている。英国では解雇の事前協議に関する規則がなく、論争が再燃する気配を見せている。

解雇の事前協議については、これを義務づける規則がEU指令で導入される見通しである。いまのところ、英国、アイルランド、デンマーク、ドイツが指令に反対しているが、ドイツは賛成に回ると見られている。

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