平均給与、産業間で格差

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

企業のリストラや人員削減政策によって過去数年間で何万人もの人々が解雇に追いやられてきた。しかし、近年では経済状況も最悪期を脱し、少なくとも統計上では雇用数と給与の増加が見られるようになった。ここ4年間の各産業における給与額の変化は、以下の通りである。(表参照)

全産業の平均月給は6000バーツ弱から7000バーツ弱に増加している。依然として高い給与額を保っているのは電気・機械産業で、最も所得が低い農業の約4倍となっている。次いで高いのは輸送業、サービス業となっている。農業はこの4年間で月額所得が約3000バーツとほぼ変化がなく、産業全体の平均給与の半分以下であるという状況から脱していない。農業と非農業との所得格差が顕著に表れており、都市部や海外への出稼ぎ労働者が多いという事実を支えている。

また、賃金構造の変化も見られる。特にサービス産業では、業績主義やフレキシブルなボーナス支給額のシステムなどが取り入れられ、一人あたりの効率性を高めようとしている。賃金の上昇は、結果の改善という要求に応えようというインセンティブにつながり、職場での業績を変化させ、技術を高めると期待されている。

懸念材料として挙げられているのは、世界的な経済不振、特にアメリカ経済のトーンダ ウンにより、タイの輸出実績が伸び悩んでいることである。輸出業以外の雇用確保が重要との認識から、政府は2001年度の政策目標として、国内需要と家計所得の向上を挙げている。

各産業の平均月給(1996~2000年)

      非農業
平均 農業 鉱業 製造業 建設業 電気・機械 商業 輸送業 サービス業
1996年8月 5,717 2,841 4,760 5,017 4,257 10,350 7,361 7,949 7,573
1997年8月 6,453 3,336 6,722 5,765 4,744 12,630 7,774 9,823 8,157
1998年8月 6,808 3,049 4,966 5,938 5,001 15,640 8,193 11,236 8,583
1999年9月 6,700 3,038 5,351 5,998 4,824 15,075 8,006 10,453 8,362
1999年11月 6,602 3,014 4,640 6,056 4,758 11,369 8,017 10,251 8,472
2000年8月 6,628 3,147 6,332 5,846 4,872 13,675 8,265 11,465 8,472
2000年11月 6,714 3,021 5,626 6,052 5,175 12,889 8,429 11,348 8,755

出典:国家統計局

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