労働組合組織率が79%に低下

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

全労組が2000年中の組合員数を公表した。ブルーカラーのスウェーデン労働組合総同盟 (LO)は組合員数が5万人減少した。ホワイトカラーの職員労働組合連合(TCO)は5000人の増加を報告、大卒専門技術労働者労組連合(SACO)の専門技術労働者の諸組合は1万4055人の増加を見せている。労働力人口が増加する中で、組合組織率は81%から79%に低下した。しかしこれは、国際比較の上では非常に高い数字である。このように高い組織率を持つ他の国はデンマークとフィンランドで、スウェーデンを含むこれら3国は、労組が失業保険制度を運営している点で共通している。

LO組合員数の大幅な減少は、組織率の低下ではなく、むしろ経済構造変化の結果である。工業におけるブルーカラー労働者の雇用者数の減少と、地方および中央政府サービス部門の民営化が、組合員数減少の主因となっている。新たな雇用は大部分が臨時的なものであり、 臨時雇いの若年者は正規の就職ができるまで労働組合への参加を見合わせる傾向にある。

これに対し、専門技術労働者諸組合の組合員数増加は、総合大学および単価大学の学生数の増加を反映したものである。SACOは全ての大学生に非常に低い料金で学生組合員の資格を提供することにより、組合員数を伸ばしている。学生が卒業して就職し、賃金交渉を含む労働組合交渉(個別交渉以外)がTCOやLOの産業別労働組合によって行われる場合でも、彼らはSACO(大学専門技術労働者組合)組合員として残っている。教員労働組合と土木技師労働組合を除けばSACOの労働組合の多くはただの友好団体に過ぎない。医師と歯科医師もそれぞれ強い労働組合を持っている。

TCOの3つの労働組合、すなわち政府労働者労働組合(ST)、地方自治体労働者労組連合(SKTF)、そして多くの専門技術労働者を含む商業俸給労働者組合(HTF)の合併計画は、大学におけるSACOの成功に対するTCOの挑戦を示している。LOの小さな労働組合であり、現在大学教育を受けた労働者のみ採用している公的保険機関の労働組合も、このTCOトリオへの加盟を計画中である。そのTCOへの加盟は、LO所属労働組合が提携関係を変更する最初の例となるであろう。

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