商業部門ホワイトカラーが工業部門と同様の協約締結

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

期日より1カ月以上早い2001年2月22日、民間サービス部門ホワイトカラー労働者のための新しい3カ年協約が締結された。この協約は、スウェーデン商業部門使用者団体の下に組織されるサービス、マスメディア、情報部門の使用者たちと、職員労働組合連合(TCO)傘下のホワイトカラー・サービス労働者の組合である商業俸給労働者組合(HTF)が、交渉により合意に達したものである。この協約の対象となる5万5000人のホワイトカラー労働者には、旅行代理店、コールセンター、人材派遣会社、法律事務所、およびクレジットカード会社などの従業員が含まれる。

賃上げ率は工業労働者とほぼ同じで、8.4%(最初の年が3%、2年目2.8%、3年目2.6%) である。この協約の対象となる労働者全員は、2001年4月1日から2004年4月31日までの協約期間中、1カ月あたり最低250クローネ(1クローネ=11.47円)の賃金引き上げを保証される。協約の中で定められた賃金のうち、最低の賃金を受ける労働者の賃金は、年3%引き上げられる。

ホワイトカラー労働者グループは、工業労働者のような時間短縮ではなく(本誌2001年5月号参照)、賃金引き上げを選択した。使用者は今後、労働者との直接個別交渉において、4週間ではなく16週間を単位として、通常の平均労働時間を設定できる。しかし同時に、超過勤務に関する規定が強化されたことにより、労働者個人の意向が、労働時間設定に反映されやすくなった。

同協約には人材派遣業も含まれているが、この分野についてはこれとは別に詳細な協約を 10月末までに結ぶことで当事者が合意している。詳細な協約の内容には仕事に配属されていない期間中の労働者に対する保証賃金の額などが含まれる。HTFはそのような期間中も満額支 払いを要求しているが、使用者側は今までのところそれを拒否している。1万3000人の常勤労働者に関する交渉は現在締結されている平和協定の枠外で行われることになる。すなわち、交渉プロセスの一部としてのストライキやロック・アウトを行う権利が当事者らに対して完全に認められている。

新しい37カ月間協約が対象とする5万5000人のホワイトカラー労働者の平均給与は、現在、月2万2000クローネである。

小売業ホワイトカラーら5万人のための協約

2001年3月14日に、5万人のホワイトカラー商業労働者のための協約も締結された。両当事者であるHTFとスウェーデン商業部門使用者団体は、労使交渉協定に基づく調停委員の斡旋を必要としたが、現行協約期限の3月31日よりもかなり早く合意に達した。金額に関しては、協約は37ヵ月の期間について工業部門でパターン形成された8.5%賃上げに従うが、個人に対する保証額は他のいくつかの協約よりも少し寛大で、1年目が最低275クローネ、その後の2年間が各240クローネで、2年目の終わりに1カ月755クローネの合計額になる。食品小売チェーンなどで働く、このグループのホワイトカラー商業労働者の平均給与は、現在、月1万9500クローネである。

HTF組合員の52%は女性であるが、彼女たちが就いている仕事においては、各職場で協約後に 賃上げを行うこと(賃金ドリフト)は稀である。従って百分率(%)による平均賃上げ率に加えて、クローネおよびオーレ(セント)に基づく(注:率ではなく額で定められた)最低賃金の大 幅引き上げを行うことは、女性に対してある程度の公平を期すための手段でもある。このような考え方はホワイトカラー労働組合では珍しいもので、HTFの連帯賃金政策は例外的である。

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