機会均等委員会、政府に男女間賃金格差の是正を求める

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年6月

機会均等委員会(EOC)は政府に対し、男女間の賃金格差を是正する一助として従業員の「賃金調査」を使用者に法的に義務付けるよう要請した。EOCの最近の調査によると、英国の男女間賃金格差は18%で、欧州で最悪であった。調査報告書は、使用者は同一の職務を遂行する男女の待遇を差別しているとし、これを是正する最も効果的な方法として、賃金の支払いが公正であることを証明する法的義務を使用者に課すことを提言している。

この提案に対して使用者らは、従業員の賃金調査には莫大な費用がかかると反発している。英国産業連盟(CBI)のスーザン・アンダーソン人的資源政策部長は、賃金格差の原因について、その4分の3は、女性労働者の(1)低技能、(2)家庭の理由による労働市場からの退出、(3)仕事獲得競争での消極さ――で説明可能だとし、残りについては、男女間のキャリア選択の違いだと述べている。

CBIはまた、法的な賃金調査について、カナダのオンタリオ州の例を引き、使用者のコスト負担が0.5~0.6%増えたことを指摘した。そのうえで、格差是正の最善の策として、(1)保育施設の改善、(2)柔軟な就業スタイルの促進、(3)女性へのキャリア・アドバイスの提供、(4)雇 用審判所での賃金格差訴訟の早期結審――をあげた。政府もEOCの提案には反対しており、賃金調査は企業の自主性に委ねるとの立場を明らかにしている。

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