国有電力会社労組、民営化強化政策に抵抗

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

国有電力会社労組(Necu)は、アロヨ政権が、係争中の国有電力の民営化問題について2001年2月6日政府と関係上下院議員が極秘に会議を開催し、総括的電力法案を可決するよう準備していると非難した。

アブナル・エリリアNecu委員長は、この会議に参加した関係議員が、アロヨ大統領が2001年1月24日発表した下院第8457法案、上院第2000法案を保留にする決定を再検討し始めたと批判した。労組によると、この会議は、アルベルト・ロムロ財務大臣が主宰し、参加者には国有電力会社の民営化を求める政策の提案者のジョン・オスマナ上院議員、セルジオ・オスマナⅢ上院議員、ネグロス・オシデンタル上院議員と下院エネルギー委員会のジュリオ・レデスマ委員長らが出席した。

エリリアNecu委員長は、労組幹部が直ちに会議に押し入り抗議したが、参加者には全く無視されたと語った。労組は、ラモス元大統領は会議には参加していなかったが、総括的電力法案の推進に対し大きな影響力を与えたと見ている。ラモス元大統領は、1994年に多くの発電所の民営化を首唱し、民間発電業者(IPPs)に発電所を貸し出す際、大統領の特権的非常手段を用い、1992年より全国的に発生した停電を止めた経緯がある。ラモス元大統領のIPPsとの契約は、電力産業の管理の民営化を促進するための政策の基本路線となっている。

このためエリリアNecu委員長は、ラモス元大統領は、アロヨ大統領の政策転換に影響力を行使し、その結果、アロヨ大統領は電力法を延期した決定を突然再検討し始めたと批判した。また、労組幹部は、IMFやアジア開発銀行からの圧力により巨大なものとなりつつある民営化への圧力に新たな抗議行動を準備するよう組合員に対し呼びかけた。

この問題に関する地方の国有電力の労組の対応を見てみると、国有電力労働組合(Newu)北部ルソン地域のジミー・サルマン委員長は、両院協議会の2000年末に向けての民営化に関する審議が透明性に欠け、エストラーダ前大統領の弾劾裁判の陰で討議が進められたと批判した。サルマンNewu委員長は、国有電力会社は事実上売却されるが、それは政府が経営に失敗したからだと強調し、政府が所有するすべての水力発電所を民営化のリストから排除するよう支持を呼びかけ続けると語った。

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