ケララ州政府、コチにハイテクITパーク建設を計画

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年5月

ケララ州政府は、ソフトウェアとITサービスの中心地となるハイテクITパークをコチ市に建設することを計画している。ケララ州は、既にトリバンドラムにハイテクパークを建設していたが、オフィスは進出企業で満杯のため増設、拡張計画を進めていた。

ハイテクITパークは、電力、通信、水道等のインフラを完備したIT産業用の工業団地である。インド南部の各州は、近年ハイテクパークの建設によるIT産業の育成を推し進めており、2000年には、隣のタミールナド州チェンナイにハイテクパークが建設されたが、オフィスは3ヵ月で満杯になった。ハイテクパークは、オフィスの他に、ホテル、クラブハウス、ショッピングセンター、住宅地等を併設し多くの雇用が創出される。

コチのハイテクITパークの詳細な計画はまだ発表されていないが、ケララ州のスクデブ・シン・カング首相は、2001年2月15日、州議会予算委員会での演説で、IT産業の発展のための環境を整備する政策が実行された後、州への投資が向上していることを説明し、ハイテクITパーク建設の必要性を強調した。

また、州政府は、IT技術者の養成を強化するため、州の600万人の生徒にIT教育を提供する「IT@スクール」と名づけた大型プロジェクトを着工する予定だと発表した。

このようにケララ州政府がハイテクITパークを新設するよう計画したのには次ぎのような経済的背景もある。ケララ州のここ数年の経済成長率は、州の政策企画者の期待に答えるもので、州内総生産を見てみると、1997年度は5.0%、98年度は5.6%、99年度は5.6%増加した。また、インド準備銀行が発行した『1999年インドの経済統計』によると、ケララ州の総生産は、1991年度から97年度までに45.1%成長した。これは、インド南部のIT産業の中心地域のタミールナド州、カルナタカ州等より高度成長であった。

懸案となっていたインフラの整備については、政府は、1996年ごろは70%の電力不足に陥っていることを州民に通知し節電を要請していたが、現在は電力の自給を達成し、96年、州の水力発電能力は1505.5メガワットだったのが、過去5年間に957.1メガワット増設され、2000年3月までに、総発電能力が2462.6メガワットに達したと発表した。

政府は、これまで工業部門において、企業の投資を増加させるために資金助成を実施するとともに、様々な革新的手段を講じ企業誘致に努力してきた。これらの政策により新設された工業団地には、シルバナサプラムのアパレル及びフィルム・ビデオ工業団地、マラプランの食品加工工業団地、エルナクラムのゴム工業団地、アルールの水産加工業団地等がある。

ただし、カング首相は、州の財政危機による圧力が広範囲にあることは認めている。中央政府の第11次財政計画の交付金は、360億ルピー減額され、ケララ州には極めて不利なものとなっている。憲法275条による自由裁量権のある交付金も、約50%減額された。このような深刻な状態にもかかわらず、政府はハイテクITパークの資金調達をし、開発過程に悪影響がでないよう保証していると強調した。

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