連邦雇用庁、労働市場の改善を引き続き肯定・失業率、1995年以来最低水準

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

ドイツでは2000年半ばから景気の回復とともに労働市場の本格的な改善傾向が見られるが、連邦雇用庁は2001年1月10日、2000年12月の雇用統計を公表するとともに、同年度の労働市場状況の評価を明らかにし、ヤゴタ同庁長官は、市場の改善が引き続き認められることを肯定した。

同庁発表の統計によると、2000年12月の全ドイツの失業者数は380万8000人(前月比16万3700人増加、前年同月比23万9000人減少)、失業率は9.3%(前月8.9%、前年同月10.3%)だった。地域別では、西独地域の失業者数は245万4000人(前月比9万3700人増加、前年同月比23万8000人減少)、失業率は7.4%(前月7.2%、前年同月8.6%)、東独地域の失業者数は135万5000人(前月比6万9900人増加、前年同月比1900人減少)、失業率は17.2%(前月16.3%、前年同月17.7%)だった。

失業者数と失業率を2000年度の年間平均で見ると、全ドイツの失業者数は388万8000人(1998年427万9000人、99年409万9000人)で、失業率は9.6%(98年11.1%、99年10.5%)だった。地域別では、西独地域の失業者数は252万9000人(1998年290万4000人、99年275万5000人)、失業率は7.8%(98年9.4%、99年8.8%)、東独地域の失業者数は135万9000人(98年137万5000人、99年134万4000人)、失業率は17.4%(98年18.2%、99年17.6%)だった。全ドイツの年平均の失業者数は3年連続の減少であり、2000年度の水準は1995年の361万2000人以来の低い水準になっており、前年比でも21万人減少している(前年比で99年は18万人減少、98年は10万5000人減少)。

また、2000年度の年間平均の就業者数は、全ドイツで3853万人と見積もられ、1999年よりも約60万人の増加となる。1998年と99年の前年比での年間就業者数の増加は、それぞれ40万人、35万人だった。

ヤゴタ長官は、このような統計から、労働市場の好転は一時的なものではなく、確実な傾向になり始めたとしている。同長官はまた、12月の失業者数が前月比で若干増加したことについても、この増加は2000年度の年平均よりも少なく、12月としても1995年以来の低い水準であり、しかも季節調整値では失業者数は前月比で2万8000人減少しており、景気の回復が労働市場に確実に好影響を及ぼしているとしている。さらに同長官は、東独地域でも季節調整値で失業者数が8000人減少していることを、好転の兆候と評価している。このような市場の好転を推進する背景として、ヤゴタ長官は、工業製品に対する外国の需要の増大を挙げ、それがさらにユーロ安によって促進されたとしている。また、2000年度の賃金協約交渉の妥結水準が控え目で、労働協約の有効期間が例年よりも長く決められたことが(本誌2000年6月号参照)、労働市場の好転を支えているとしている。さらに同長官は、税制改革(本誌2000年10月号参照)と財政再建が企業の信頼を獲得するのに寄与したことも挙げている。

このような2000年度の労働市場の積極的評価から、ヤゴタ長官は2001年度についても市場の改善は持続するだろうとしている。そして同長官は、2001年度の年間平均の失業者数の予測として、360万人から370万人という数字を挙げている。

他方、連邦雇用庁の統計発表を受けて、リースター労相も2001年度の労働市場について楽観的な予測を示し、年間平均の失業者数は25万人以上減少して360万人ほどになるだろうと、ヤゴタ長官とほぼ同様の見通しを示している。同労相は、米国の景気の後退にもかかわらず、ドイツの景気の回復基調は持続するとしているが、その理由として、輸出は減少に転じるが、2001年初めに施行された税制改革が民間消費を進捗させ、景気を持続させることを挙げている。

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