鉄鋼大手コーラス、2工場閉鎖で6000人削減
英蘭鉄鋼大手コーラスは2001年2月1日、2003年までに南ウェールズの2工場を閉鎖し、6050人を削減すると発表した。英製造業ではこの数年で最大規模のリストラになる。世界的に鉄鋼は供給過剰となっており、またポンド高・ユーロ安によって輸出競争力を失ったことなどが背景にある。ウェールズ地方は労働党の大票田であるだけに、今春以降に総選挙を控えたブレア政権にとって手痛い失点になる。
コーラスは1999年にブリティッシュ・スチール(1998年に民営化)と蘭ホーゴーバンの合併で発足した。現在、年間売上は約90億ポンド(1ポンド~0000円)でEUの鉄鋼グ ループではトップ・スリーに入るが、同社は2000年12月期に10億5000万ポンドの営業赤字を見込んでいる。世界的に見て鉄鋼の生産能力が過剰で、価格がこの20年間で最低水準に落ち込んでいるほか、国内需要の落ち込みで輸出依存度を高めながらもポンド高・ユ ーロ安によって大陸のライバル企業に対し輸出競争力を失ったのが原因。
コーラスの今回の計画では、国内製造業の需要低下に合わせて国内生産能力を年間300万トン削減する。これは同グループ全体の生産能力の15%に、また2000年の英国の鉄鋼生産の20%に相当する。
1999年の合併当時、コーラスは英国内で3万3000人を雇用していたが、その後4700人の人員削減を決めており、今回のリストラで削減規模は1万人を超える。2003年までに2万2000人まで削減する予定だ。
6000人という削減規模に関して事前に全く知らされていなかった政府は、今春以降に総 選挙を控えているだけに、規模が発表された当初はコーラスの計画に怒りを露わにしていた。しかし、まもなく、コーラスの決定に同情的な産業界との関係悪化を危惧してコーラ スに話し合いを提案。コーラスはこれを受け入れ、ステファン・バイアーズ貿易産業相のほかに、1万2000人のコーラス従業員を代表するAEEUなどの労組の考えも聞く予定である。
2001年4月 イギリスの記事一覧
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