欧州生活・労働条件向上財団、EU域内の労働条件に関する調査結果を公表

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

欧州生活・労働条件向上財団は、EU域内の労働条件を調査した結果をまとめたTen Years of Working Conditions in the European Unionという報告書を公表した。同財団は、1990年と95年に同様の調査を行っており、2000年に実施された今回の調査では加盟各国の2万1500人の労働者を対象に面接調査が行われた。

報告書は、いくつかの項目に分かれており、まず「安全衛生」については、全体的に見ると安全衛生上の危険を訴える者の割合はこの10年間で漸減している。ただ腰痛やストレスを訴える者は依然として多く、反復作業の頻度との関連性が指摘されている。

「労働強化」については、労働者の半数以上が労働時間の少なくとも4分の1について非常にせきたてられ、期限が逼迫していたと感じていた。また、「仕事のペース」に関しては、上司による指示や機械のスピードにより決定されると回答した者は減少し、反対に外部の需要や同僚により左右されると回答した者が増加している。「自律性」という項目では、仕事のペースを自らがコントロールしていると回答した者の割合が示されており、その割合は1990年に64%であったのが、95年には72%に上昇し、2000年には71%と若干低下した。

また、コンピュータを利用して働いている者は、およそ40%を占めていた。「職業訓練等」については、33%の被用者が使用者により提供された訓練を受けていた。「労働時間」の項目では、労働時間の長さや通勤時間、シフト制等について尋ねており、 被用者のうち労働時間が週30時間未満と回答した者が17%、週45時間以上と回答した者が14%であった。1日当たりの平均通勤時間は38分であったが、国などによりかなりの ばらつきが見られた。

「男女間職務分離」は、依然として解消されていないことが明らかにされている。「臨時労働者」の部分では、臨時労働者(有期契約労働者や派遣労働者)と劣悪な労働条件との関連性が示されていた。また、被用者の10%が有期契約労働者であり、派遣労働者は2%を占めていた。

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