いずれも強気の2001年の雇用増予測

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年4月

ブラジル国内では2000年の後半から経済は長期的な回復期に入ったと言われており、工業生産高は2000年1~11月で前年比6.3%の増加、スーパーマーケットの売り上げも増加し消費の着実な回復を裏付けている。

こうした状況を受けて労組筋や労働市場のアナリストたちは、2001年に少なくとも160万人の新規雇用が創出されると予想している。一方、フランシスコ・ドルネーレス労相は2000年中に正式雇用だけで88万3000人、非公式雇用も合わせると200万人の新規雇用増があったと見ており、さらに2001年には両方合わせて230万人増加するとの楽観的な予想を発表している。

サンパウロ大学経済学部のジョゼ・パストレ教授によると、GDPが1%成長するごとに公式、非公式合わせて40~42万人の雇用が創出される、と試算する。したがって、同教授は政府予測通り2001年に GDPが4%成長すれば160万人の新規雇用が生まれると予想し た。

中央銀行はもっとも楽観的で、GDPは4.5%成長と予測しており、これなら約180万人分の雇用増を期待出来る。2001年の雇用増加予想に反対する意見は出ていない。

2000年を過渡期として、経済は2001年から永続的成長に入ったとする見方が一般的で あるが、ただし、これは国内情勢から見た判断であって、国際情勢の変動が国内経済を直接左右する国家の構造からして、この楽観的予想は国際情勢が順調に推移することが条件となっている。

労相は2000年の雇用増加の牽引車として、工業部門が好調であることを指摘する。パストレ教授も5年間連続して工業部門は雇用を減少させたが(計90万人)、ようやく新規採用を開始し始めたと、労相の意見に賛成する。

サービス部門も2001年には雇用を増加させると予想されており、特に金融市場と通信、エネルギー部門に訓練された労働力需要が増すと見られている。

しかしパストレ教授は正式雇用よりも非公式雇用の増加が高いことについて、正式雇用に伴う官僚手続きの負担と煩雑さの影響が非常に大きいことを指摘し、「政府は労働法、税制改革の実施に手を付けず、改革を将来へ押しやるばかりである」と述べた。

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