一つの組織となったスウェーデン産業団体

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

スウェーデン経営者連盟(SAF)がスウェーデン産業連盟(Industriforbundet)を統合する計画は、今や統合後の新団体であるスウェーデン産業団体(Svenskt Naringsliv)の執行役員が、2つの組織によって共同で任命される段階に達した。SAFは約4万6000社の加盟企業を銀行以外のほとんどの工業、商業、運輸、サービス部門に持つ。一方、スウェーデン産業連盟は、約7000社の会員を各種製造業、IT産業に持っている。スウェーデン産業連盟加盟の7000社のうち、ほとんど(約6400社)がSAFの会員でもあるため、新経営者団体に加盟する企業数は現SAFとほとんど変わらない。SAFとスウェーデン産業連盟は、これまでの別の課題を扱ってきた。スウェーデン産業連盟は主に通商政策、運輸政策、エネルギー・環境問題を扱っている。

新経営者団体の専務理事は、ゲラン・トゥンハマー現SAF最高経営役員(CEO)であり、ボルボ社の前最高経営責任者でスウェーデン産業連盟の現会長であるセレン・ギル氏が会長となる。3人の副会長も任命される運びとなり、エレクトロラックス社のミカエル・トレッショウ最高経営責任者と、IT投資基金であるブレインハート・キャピタル社投資マネジャーのシグルン・ヘルンクヴィスト氏がまず任命された。3人目の副会長は、中小企業連盟によって任命される予定となった。

3人の副会長のうち、以前、エリクソン部品会社の常務取締役を務めたことがあるヘルンクヴィスト氏は、主要経営者団体で指導的地位につく初の女性である。同氏の会社は、無線情報通信技術分野では世界最大の投資資金を有する資本金20億スウェーデン・クローネ(1クローネ=11.75円)の企業である。

ITおよびインターネットは、今では「旧経済」に統合されていると、同氏は語っている。鉄と紙のような工業製品が依然として主要製品であるが、製造業もITとインターネットによって根本的に変化した。その結果、純然たるIT企業が知識産業と呼ばれるのと同様に、それらは今や知識産業になっているという。ヘルンクヴィスト氏は、自身が、新しい合同経営者団体に新たな視点を提供し、その現代化と発展に多大な貢献ができると確信している。

創立者たちによれば、新経営者団体は以下のことに責任を持つことになる。

  • スウェーデンの全産業を代表する。
  • 新しい時代の新しい組織となる。
  • 2つの異なる団体の時代よりも、世論形成に、より強力な発言力を発揮する。
  • 国際的な討論の場で、率先して発言を行う。

統合後の組織について正式な決定を行う目的で2000年12月6日に並行開催された特別会議で、スウェーデン経営者連盟(SAF)、およびスウェーデン産業連盟(Industriforbundet)は、当初の予想通り、ボルボ社の最高経営責任者レイフ・ヨハンソン氏に率いられた共同準備委員会の勧告に従うことを決議した。また、新たな合同経営者団体結成に関する、いくつかの公式決定を行った。

次の段階として、2001年3月29日と4月3日に開催される2つの団体の定期総会があり、4月から新経営者団体が発足する予定である。その後、新しく統合された団体「スウェーデン産業団体」の、初めての設立総会が開催される。

12月6日の会議と連携して、2つの団体に属する中小企業も会合を開き、その新しい共同議長を任命した。同議長は、自動的に「スウェーデン産業団体」副会長の第3の候補となる。その人物は、スウェーデン最大の壁紙メーカーであるドゥーロ社の最高経営役員のビョルン・アンダーソン氏である。新しい団体の中小企業集団の構成員は、従業員250人までの企業である。

今日、SAFおよびスウェーデン産業連盟は、計390人の職員と専門家を雇用している。計画では、主に早期退職勧奨と事業の外部委託により、220人にまで削減する。

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