増加しつづける失業者

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

国家統計局(NSO)は、2000年10月の失業率が10.1%になったと発表した。これは、過去9年間で最悪だった2000年4月の13.9%よりは改善したものの、前年同月比の9.6%より0.5ポイント高い。NSOはこの理由を、農業と工業部門での雇用者数が減少したためと説明している。

これは、経済の停滞、政治混乱、インフレ、長期化する失業期間等の国内問題が影響したものと思われ、今後さらなる経済の悪化が予想されるため、失業率がさらに上昇すると見られている。

特に、エストラーダ大統領の汚職疑惑により、ペソが2000年10月から12月15日までに9%下落し、中央銀行はペソ防衛のため貸出金利を4%に引き上げたが、これが企業の投資を鈍化させ、特に消費財を輸入している企業に大きな打撃を与えた。

総失業者数は310万人に上昇、一方就業者数は、昨年比わずかに1万人増加し2777万人。産業別に見てみると、全体の約3分の1を占める農業労働者は、昨年比10万人減少し1040万人に、全体の16%を占める工業労働者は、10万人減少し440万になった。全体の50%を占めるサービス部門の仕事のみが、20万人増加し1290万人に達した。これは、輸送、通信産業で雇用が増加したからである。

なお、フィリピンの失業者数には、1日数時間だけ労働をする非常勤労働者は含まれていない。

今後の見通しとしては、アバクス証券のエコノミストのエミリオ・ネリ氏は、エストラーダ大統領の政治危機のため、経済成長率が第3四半期の4.8%から第4四半期は3.5%に低下すると予想している。

今回の調査で、特に失業問題が表面化したのは北部ミンダナオ地方である。

雇用労働省(DOLA)北部ミンダナオ事業所、ローデス・ガイラマラ統計担当官は、2000年1月から11月までに、50社2332人の労働者が解雇されたと発表した。主要なものを挙げるとココゴールド・マニュファクチャリング社が675人、ビクマル・ディベェロップメント社429人、ミサミス・オリエンタル社が200人である。

特に問題になっているのは、国営ナショナル・スチール社(NSC)の再建と雇用の維持である。

NSC自由労働者組合(NSLU―FFW)の発表によると、イリガン市では、1999年にNSCにより解雇された労働者1000人以上が現在も失業中である。 NSCの経営再建問題に関し、2000年12月フィリピン・ランドバンク銀行、グローバル・ビジネス銀行等のNSCの債権者は、イリガン・プラントを貸し出すことを決定した。

NSCを解雇された労働者は、NSCが再建され、長期的な投資をする投資家がNSCを買収することを希望していたため、イリガン・プラントの貸し出しは、NSCの再建を遅延させるだけだと猛烈に反対した。

NSCの清算人のダニロ・コンセプション氏は、2000年12月6日、証券管理委員会(SEC)が、賃貸契約を結ぶことを承認しても、労組側がその選択を承認しなければ、債権者である銀行が提示した要求は、再協議される必要があると述べた。

NSLU―FFWは、2000年12月6日債権者である銀行の支店の入口で抗議集会を行なった。シンプリシオ・ヴィラルタNSLU―FFW委員長は、SECが銀行側の圧力に屈しコンセプション氏を解任する可能性がでてきたため、抗議集会開催により労組のコンセプション氏支持を明らかにしたと述べた。

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