トヨタはフル稼働で英工場を存続

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

イギリスの記事一覧

  • 国別労働トピック:2001年3月

長引くユーロ安・ポンド高を背景に、英国での自動車生産を中止・縮小する動きが出ているなか、トヨタ自動車は2001年1月4日、英国での自動車生産を約30%増やし、現行の年間17万台から2002年中にフル生産の22万台に引き上げると発表した。稼働率の引き上げで生産コストを下げ、英工場の存続を図る。増産にともない300人を新規雇用する。

欧州単一通貨ユーロ未加盟の英国の製造業は、ユーロに対するポンド高でユーロ圏である欧州大陸向け輸出競争力の低下が著しく(本誌2000年10月号、2001年1月号参照)、自動車産業では、米フォードモーターや米ゼネラル・モーターズ(GM)傘下のボクソールが2000年に相次ぎ自動車の生産打ち切りを決めたほか、独BMWも傘下企業の英ローバーを売却するなど、英国での生産を中止・縮小する動きが出ていた(本誌2000年6、7月号参照)。

今回のトヨタの決定は、この流れに逆行するもので、具体的には、「カローラ」の3ドア車の生産を日本から英製造拠点であるトヨタ・モーター・マニュファクチャリングUKのバーナストン工場(ダービー州)に移すことで、同工場の稼働率を引き上げ、自動車1台当たりの工場・設備の固定費を圧縮する。増産に対応するため、バーナストン工場とディーサイドのエンジン工場(フリント州)で合計300人を新規雇用する。ただし、新規投資は行われない。

今回のトヨタの決定で、広がりつつある生産中止・縮小の動きに歯止めがかかるのではないかと期待されている。

2001年3月 イギリスの記事一覧

関連情報