派遣身障者受け入れ態勢に関するEEOC指針

※この記事は、旧・日本労働研究機構(JIL)が作成したものです。

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  • 国別労働トピック:2001年3月

EEOC(雇用機会均等委員会)は2000年12月27日、身体障害者が、労働者派遣会社などから派遣され、他の使用者のもとで働く場合に、身障者の受け入れ態勢を整える責任を誰が負うかを明らかにする指針を発表した。この指針は、即日施行された。EEOCのカストロ議長とEEOCの弁護士エレン・バージャス氏によれば、多くの身体障害者が、より安定的な雇用への第一歩として、派遣会社を通して働き始める。特に身障者が長い間働いていなかった場合にその傾向があるため、今回の指針は重要な意味を持っている。

アメリカ人障害者法(ADA)や従来の指針では、派遣身障者に対して、施設改善、人員配置などの便宜をはかる責任を負うのは、派遣元企業と派遣先企業のどちらか明らかではなかったが、今回の指針は、一般に派遣元企業に責任があるものの、派遣元、派遣先の両者にしばしば、その責任があるとしている。従業員が申し立てを行った場合には、事業運営に「過大な困難」を生じると使用者が証明できない時、指針を守らない企業の責任が問われることになる。新指針は、この「過大な困難」をどのように決定するかについて詳細に議論している。

1600社の派遣会社を会員に持つ、米国人材派遣業協会(ASA)のエド・レンツ氏は、個人的な意見として、新指針の条項で定められた、派遣会社が労働者に対して障害について質問することが許される時点が遅すぎると述べている。連邦法では、求職者に対し障害の有無について質問することが初めて許されるのは、正式採用通知をする際である。しかし、これまで大部分の派遣会社は、派遣登録する際に、求職者の障害の内容や、仕事をする上で必要な便宜について尋ねてきた。新指針では、障害について質問できるのは、派遣先での仕事が割り当てられてからとなっている。レンツ氏は、派遣労働者が新たな派遣先ですぐに働き始める場合もあるため、能率を下げずに、この指針を守ることは現実的には難しいと考えている。レンツ氏によれば、毎日、平均で約300万人が派遣労働者として働いている。

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